26話 ページ27
もう1度瞼を開くと、そこは朝日が差し込むかっちゃんの部屋だった。
あれ？
なんで俺はかっちゃんの部屋で寝てるんだろう...
目の前には俺の頭を腕で支えながら横になるかっちゃん。その瞳は柔らかく開かれていた。
まだ覚醒しきっていない頭で、俺の髪をすいているかっちゃんを寝惚け眼でぼーっと見つめる。
「かっちゃんやっぱりキレイだな、怒らなければモテるのに...」なんて場違いなことを考えた。
まるでまだ夢の中にいるような浮遊感。
隣で横になっている彼に全く現実味が無かった。
だからだろうか、
普段だったら絶対に口にしない、できない言葉が口から零れ落ちた。
『ごめんね、かっちゃん。
かっちゃんは罪悪感で俺と一緒にいるのに...』
.
「....どういう意味だ」
『あっ...』
一気に目が覚める。
口にしてしまってから、今のは失言だったと気付いた。
一生言うつもりなんて無かったのに。
これは夢なんかじゃない。
紛れもない現実だ。
「どういう意味だって聞いてんだ」
怒気を含んだ声。
強い力で腕を掴まれ問い詰められる。
さっきまでの穏やかで優しげな影はもう何処にも見当たらなかった。
あぁ、そうだ。昨日はかっちゃんの部屋で一緒に勉強をしてそのまま泊まったんだ。
自分の意思とは反対に、勝手な方向へ思考が回る。
『ごめん、忘れてごめん....』
情けないぐらいに震える自分の声。
どうすればいい、どうすれば...
「誰が罪悪感で一緒にいるだぁ！？」
力の限り腕を掴まれ骨が軋む。
今まで俺には決して向けられることのなかったかっちゃんの凶暴な一面を初めてぶつけられる。
もうどんなに御託を並べても、きっと逃げられない。
どうして、なんて
かっちゃんが一番分かっているだろう。
『だって！
かっちゃんは俺が拐われたのは自分のせいだって言ってただろ！
だから罪悪感で俺と一緒にいるんだろ...』
「....はぁ？」
『気付いてた、気付いてたのに俺はそれに縋るしか無かった。
本当に、ごめん...』
「...本気で言ってんのか」
『本気も何も...事実でしょ』
強く睨まれるが、俺も負けじとかっちゃんの顔をぐっと見つめる。
「くそっ...何であれで伝わらねぇ....」
先ほどとは打って変わって困惑した様子のかっちゃんは、ふっと掴まれていた腕を解く。
余程強い力で握ったのか、腕にはすっかり跡が残ってしまっていた。
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ウタ - 次の展開がどうなるのか楽しみです (2018年7月18日 22時) (
レス) id: 5d727cd1f1 (このIDを非表示/違反報告)
雫(プロフ) - めっちゃいい話だと思います！！更新楽しみにしてます！！ (2018年7月16日 8時) (レス) id: 83591e10d1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - ストーリー展開がとても好みだし、文章が、言葉ひとつひとつが綺麗で好きです。本当に素敵な作品ですね！ (2018年6月24日 21時) (レス) id: bc7a356a9c (このIDを非表示/違反報告)
こパンダ - とてもたのしみにしてます。頑張ってください！ (2018年6月22日 17時) (レス) id: 7360b2bbb8 (このIDを非表示/違反報告)
甘露蜂蜜(プロフ) - あああこれは夢主くん弔くんのこと思い出してほしいやつです…！こういうめっちゃシリアス系好きなので展開がすごく楽しみです。頑張ってください。 (2018年6月17日 23時) (レス) id: 817d133cd9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紺碧 | 作成日時：2017年11月13日 21時
