27話 ページ28
かっちゃんは眉をひそめ、その跡に優しく指を沿わせる。
触れられるたびにピリピリと少しだけ痛みが走った。
分からない。
どうしてまだ優しくするんだ。
もう充分じゃないか。
これ以上優しくされたら、期待してしまう。戻れなくなってしまう。
『もうやめて、
優しくされると縋りたくなる。
かっちゃんの罪悪感に...ダメだって分かってるのに』
語尾がかすかに震えてそれ以上言葉を紡ぐことが出来なかった。
腕に触れたままのかっちゃんの手の温もりが、何故だか遠くに感じた。
怖くてかっちゃんの顔が見れない、俯いて沈黙に耐えていると
すうっ
と息を吸い込む音が聞こえびくりと肩を揺らす。まるで叱られている子供のようだった。
かっちゃんは先ほどとは打って変わって、優しい声色で話し始めた。
「確かに罪悪感はあった。
俺のせいで俺が居なくなったのは事実だ。
でも、俺がお前のそばにいるのはそんなもんのせいじゃねぇ。
俺がお前のそばに居たいからだ。」
女性が聞いたら即倒してしまうような口説き文句だ。
そんなかっちゃんの言葉を、まるで言い訳のようだと思ってしまう自分が嫌で仕方がない。顔を上げない俺にそれでもなおかっちゃんは続けた。
そばにいるぞ、
と存在を示すかのように触れる手にグッと力が込められる。
それにさっきのような暴力的な影はなく、俺を守るかのように優しげだった。
「俺はお前が好きだ。A。」
優しい声だった。
俺が
好き？
告げられた言葉を少しずつ噛み締めながら理解していく。
じわりと染み込むように溶け出して俺に馴染んで行った言葉を、ゆっくりと受け入れると顔中に熱が集まるのが分かった。
こらえきれずに顔を上げると、真剣な表情で俺を見つめるかっちゃんと目があった。
『は....、え？』
「Aが好きだ」
もう一度、確かめるように告げられ、先ほどの告白は聞き間違いではないのだと教えられる。
『え、あ...』
意味のない言葉を零すことしかできないでいる俺をあやすようにかっちゃんは続けた。
『お前が俺の隣にいて、呼吸をしているだけで幸せなんだ。
ずっと、それこそ出会った頃からその思いは変わってねぇ。なのにあの時お前を突き放した。
ずっと....後悔してきた。
そばに居てくれ
それだけでいい。」
そう言ってかっちゃんは俺をそっと抱きしめた。
ふわりと香った懐かしいニトロの甘い香りに包まれて、俺は小さな子供のように声をあげて泣いていた。
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ウタ - 次の展開がどうなるのか楽しみです (2018年7月18日 22時) (
レス) id: 5d727cd1f1 (このIDを非表示/違反報告)
雫(プロフ) - めっちゃいい話だと思います！！更新楽しみにしてます！！ (2018年7月16日 8時) (レス) id: 83591e10d1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - ストーリー展開がとても好みだし、文章が、言葉ひとつひとつが綺麗で好きです。本当に素敵な作品ですね！ (2018年6月24日 21時) (レス) id: bc7a356a9c (このIDを非表示/違反報告)
こパンダ - とてもたのしみにしてます。頑張ってください！ (2018年6月22日 17時) (レス) id: 7360b2bbb8 (このIDを非表示/違反報告)
甘露蜂蜜(プロフ) - あああこれは夢主くん弔くんのこと思い出してほしいやつです…！こういうめっちゃシリアス系好きなので展開がすごく楽しみです。頑張ってください。 (2018年6月17日 23時) (レス) id: 817d133cd9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紺碧 | 作成日時：2017年11月13日 21時
