番外編4−1 ページ32
【棘とおにぎり】
Aが入学して数日、少しずつ高専での生活に慣れてきた頃。
普段なら授業前から机に向かって熱心に漢字ドリルを解いているAだが、その日は珍しく手を止め考え事にふけっていた。
クラスメイトである真希、棘、パンダはいつもと違うAの様子に困惑している。
真「A、どうかしたのか?手が動いてねえけど」
『あ、真希……。ちょっと考え事をしててね』
真「なんだ、言ってみろ」
『うーん、これは主に棘に聞きたいことなんだけど……』
棘「?」
珍しく歯切れの悪いAが意を決したように顔を上げ、棘の方を真っ直ぐ見つめる。
見つめられた棘も様子を見守る真希とパンダも息を呑んでAの次の言葉を待った。
『……あのね、棘。
私実は、パン派なの』
一瞬の間の後、A以外全員がその場でズッコケた。
もちろんその次はツッコミが吹っ飛んでいく。
真「いや何の話だよ!」
パ「真剣な顔して何話すのかと思ったら食事の好みの話かよ!」
『えっいや食事の好みの話じゃなくて……』
慌てて手を振って弁解するA。
ツッコミ勢が落ち着きを取り戻したところでAはまた真剣な顔で棘を見つめる。
『あのね、私パン派だから、おにぎりのことよく分からなくて。
だから教えて欲しいんだけど、
「しゃけ」と「さけ」の違いって、何?』
棘「」
パ「その話するのにパン派のくだり要らなかっただろ絶対」
真「そもそもそれおにぎりあんま関係なくねぇか?」
棘「……すじこ」
『あ、そうそうその「すじこ」っていうのも何か分からないから教えて欲しいんだ!』
棘「…………高菜」
『あ、高菜は何かわかるよ!あれでしょ、あの…………葉っぱ』
パ「本当に分かってるのか分からない絶妙な答えきたな」
真「じゃあ「おかか」は分かるのか?」
『んえー、わかんない……けどなんか茶色のふわふわなイメージある』
パ「今度は本当にわからないのかわからない絶妙な答えだな」
棘「…………………………」
そんな話をしていると棘は全く喋らなくなり、なにか考える素振りを見せたがすぐに立ち上がって教室から出て行ってしまった。
『あれっ、怒らせちゃったかな!?』
真「いや、怒ってはないだろ」
『ううーん、今度任務帰りにコンビニでおにぎり買ってみるかあ』
まだ使い慣れないスマホに、任務帰りコンビニでおにぎりを買う、とメモをして授業が始まるのを待った。
【次回に続く!】
616人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
さん(プロフ) - coralさん» なので呪文の効く効かないだとかそういう細かい(?)所は目をつぶっていただけると幸いです。最後に、色々意見頂けて有難いのですが、今の所内容を変更する予定はありませんのでご理解頂けると嬉しいです。 (2021年3月21日 19時) (レス) id: 22b39d8ca2 (このIDを非表示/違反報告)
さん(プロフ) - coralさん» 爆破呪文は使っていますが消去呪文は使い方に迷ったので使わないことにしています。序盤でアバダケタブラを出したのは普通に温存とか全く考えていなかったからですね。二つの別の世界を無理矢理くっつけているので、私の力量ではどうにも矛盾が出来てしまいます。→ (2021年3月21日 19時) (レス) id: 22b39d8ca2 (このIDを非表示/違反報告)
coral(プロフ) - 自分の作品でもないのに長々と失礼致しました。 (2021年3月20日 23時) (レス) id: 76a1fad787 (このIDを非表示/違反報告)
coral(プロフ) - また、アバダケダブラはそもそも対生命体の呪文ですから、他の魔法が効かない設定であればアバダケダブラも通用しないのではないでしょうか。どちらかというと守護霊呪文で身を守る方が対呪霊には良いのではないかとも思います。 (2021年3月20日 23時) (レス) id: 76a1fad787 (このIDを非表示/違反報告)
coral(プロフ) - 呪力を込めて魔法を使っている、などとして爆破呪文や消失呪文を使わせたりはしないんでしょうか?アバダケダブラは最強の呪文みたいなものなので、序盤に出してしまうのではなく温存しておいた方がいいのではと思った次第です。 (2021年3月20日 23時) (レス) id: 76a1fad787 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:さん | 作成日時:2021年1月4日 15時