期末試験最終日#1 ページ2
「……！…寝落ちしてた…」
＿＿今日も徹夜しようと思ってたのに。
(にしても、嫌な夢だった…)
控えめにオレンジの炎が揺れるランプをボーッと眺めつつ、さっきの夢を思い出す。
……もう一度寝たら、いい夢を見れないだろうか。
視線を少しずらすと、机に散らばる筆記用具の類に、冷えきってしまったコーヒーが目に入る。
…とても、勉強する気は起きない。
(幸い、明日は得意科目だし)
テスト対策の為にこれ以上やる必要も見当たらない。
「……」
ガチャリと扉を開けると、隣の部屋から明かりが漏れていた。
ユウも徹夜…それともグリムか。
どちらにせよ、「早く寝ます」と言って部屋にこもった人間がコーヒー片手にうろついていては怪しまれる。
静かに、それでも足早に。
一階のキッチンに降りて、冷えてしまったそれを捨てる。
「！」
ぽた、ぽたと垂れた最後の一滴が、あのインクの垂れる音と重なって、胸元のネックレスを反射的に持ち上げた。
(……どす黒い…)
＿＿リドル先輩に、レオナ先輩のオーバーブロット。
学校から支給されたマジカルペンがなければ、私も今頃…いや、それよりも前にきっと、
(ってダメダメ。そんな暗い事考えるから、ブロットが溜まるんだ)
続けてマジカルペンの方を確認すると、いくつか黒いシミがあるとはいえ、ネックレスの方とは比べ物にならないほど綺麗だった。
(なんだか、私みたい)
「…って、何考えんだか」
無用な長居はいけないと、コーヒーの入っていたカップを水切りに置いて、階段を上る。本当に徹夜するつもりなのか、まだユウの部屋から明かりが漏れていた。
「程々にしてくださいね」
「ふなっ！？Aの声…？まだ、起きてるんだゾ？」
「！」
(しまった、グリムだったか)
にしてもあの見た目に反しない耳の良さだな。
そう感心する一方で、足音が近づいていてきている。
(まずい！)
「A〜！起きてるんだったら、……？？寝てるんだゾ」
「……」
「ふなぁ…50位以内になんとしてでも入りたいから…猫の手も借りたいってのに…」
これまでとないスピードでベッドに潜り込み、なんとかやり過ごす。
(猫の手も借りたいって…失礼な)
私を猫の手と称するなんて度胸がある。…私にプライドがないとでも思ったら、大間違いだ。
(にしても…「なんとしてでも50位以内」って…)
やけに違和感のあるその言葉に、胸騒ぎがした。
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のま(プロフ) - エーメさん» 素敵なコメントをありがとうございます…！そう言っていただけるととても嬉しいです！引き続き頑張って更新させていただきます！ (2021年1月9日 14時) (
レス) id: eb0df26a11 (このIDを非表示/違反報告)
エーメ(プロフ) - はじめまして！この小説すごく面白くて一気読みしてしまいました！これからも応援しています！更新も無理のないよう頑張ってください！ (2021年1月9日 0時) (レス) id: 30ed0185d7 (このIDを非表示/違反報告)
のま(プロフ) - ベルモットさん» ありがとうございます…！そう褒めていただいてとても嬉しいです！展開がわかりやすいように、と気をつけている部分も多かったので本当にとても嬉しい…！(語彙力が…)コメントありがとうございます！ (2020年9月17日 21時) (レス) id: d72737bac0 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - 貴方様の夢小説を読みました。文章が繊細で、ストーリー展開が分かりやすかったです。 (2020年9月17日 18時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
のま(プロフ) - マザーグースさん» あわわ、ありがとうございます…！地道に頑張らせていただきます！ (2020年8月12日 12時) (レス) id: d72737bac0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：のま | 作成日時：2020年8月4日 13時
