#2 ページ15
『アクスさんはやっぱ“効いてる”獣人なんスね』
私の聞き間違いがなければ、確かにラギー先輩はそう呟いた。
「何が効くんですか？…もしかして、あの人が急に抱きついてきた事にも関係していますか？」
「うぉっ、ちょっと落ち着いてくださいよ」
らしくないッスよ、と笑われるけど私に笑っていられる余裕はない。
ガシッとラギー先輩の肩を掴み、「早く言ってください」と詰め寄る。
「……ったく、相変わらず男を知らない王女サマッスね」
「？何かおっしゃいましたか？」
「何でもないッスよ…でもいいんスか？そんなカッコ」
ちょいちょいと指を指して言ったラギー先輩。
(一体誰のせいで…)と思いながらも肩から手を退けて、距離を取る。
「おせぇぞラギー…あぁ、なるほどな」
「…？」
そんな事をしていると、鏡舎の方からレオナ先輩が歩いてきた。
(ラギー先輩を待ちきれなくなったのか…でも「なるほどな」って何？)
疑問だけがどんどん増えていく。それを気にせずに、レオナ先輩は次に爆弾を落とした。
「お前、知らねえもんな。そのハーブの、」
《依存性》
「…はい？」
(この人は今、何といったのだろうか…このハーブの、依存性？)
「あ、ありえません。だってこれは、むぐっ！？」
「おいおい、場所考えろよ」
「シシシッ、下手したら違法モンッスもんね」
言葉の途中で手で口を塞がれる。
すぐに離してもらえたものの、私の不満は尽きない。
(違法なわけない！)
まずはそう否定してやりたいが、先輩の言う通り場所が場所だ。加えて内容が内容だし、いつもレオナ先輩達の前で振る舞うようにすれば、周囲のイメージが崩壊しかねない。
「なら植物園で、」
「だりい。寮戻んぞ」
「そんなっ！」
あれだけ言っておいて何も教えないつもり！？
信じられない気持ちで声を上げれば、「うるせえ喚くな草食動物」と一蹴された
「だってもしそれが、」
「ッチ…察しの悪い奴だな。テメェも来んだよ」
「！？」
かと思えば、グイと乱暴に手を引かれる。
…体格も全く違うのに私が転んだりしないのは、さりげなく歩幅を合わせてくれているからなんだろう。
(冷たくしてるのか、優しくしてるのか…わかりにくい人だ！)
「ラギー、お前はアイツ探しとけ」
「はいはい…あの人足速いんで追いたくないんッスけどねぇ」
「テメェの失言がこのザマだろ。働いてこい」
そんな会話を聞きながら、私はサバナクロー寮に続く鏡へと足を踏み入れた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1555人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ツイステ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
のま(プロフ) - 麗さん» ご指摘ありがとうございます…！その通りです。見事に誤字していました泣細かい所まで見て下さりありがとうございますm(_ _)m (2021年1月9日 8時) (
レス) id: d72737bac0 (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 31ページ 大丈夫だよジャック、、、の後にくるのは夢主の名前ではないのでしょうか?? (2021年1月9日 7時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
のま(プロフ) - 月華姫さん» コメントありがとうございます( ´ ` *)グッピーちゃん呼び、一応理由があってどこかで明かすかもしれませんので楽しみにしていてください笑応援嬉しいです！応えられるように頑張ります！ (2020年5月23日 15時) (レス) id: d72737bac0 (このIDを非表示/違反報告)
月華姫 - フロイドが何故夢主ちゃんをグッピーちゃんと呼ぶのか気になりながら更新楽しみにしていますっ♪此れからも応援していますっ(｀・∀・´)bではまたっ♪ (2020年5月23日 15時) (レス) id: 4f61ef1df2 (このIDを非表示/違反報告)
遙(プロフ) - keronefiさん» うっコメントありがてえです…課題に追われて死にそうですが、更新も頑張ります！ (2020年5月13日 23時) (レス) id: d72737bac0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：のま | 作成日時：2020年5月7日 17時
