#3 ページ8
「おかあ、さん」
「…なんだ。言ってなかったのか？」
「……口約束でしたし。それに、変に期待させても…」
「……そうか」
「A。その人は誰？貴方の知り合いなんでしょう」
教えて、と言ってくる彼女に悪いところはない。むしろ、言っていなかった私が悪い。
「実はねお母さん…ううん、ごめん後で。お父さんにも一緒に話したいんだ」
「まぁ…まぁまぁ！もしかして、けっ「ではないかな!!」あら、そうなの」
変な想像で盛り上がる母を落ち着かせ、ジャミルさんに「今のうちに」とアイコンタクトを送る。
「A、」
しかし、彼はすぐに帰ろうとしなかった。
名前を呼ばれ視線をやると、片手に何か持ったジャミルさんがいる。
「連絡先を交換しておこう。その方が後々楽だ」
「…すみません、その、“スマホ”？でしたっけ？
持っていなくて」
「口調」
「あっ、ごめん」
謝ると、無表情…だけどどこか満足気に頷いたジャミルさん。そして、「わかった。支給させておく」と続けた。
「いえ、そこまで「決して善意だけでやってるわけじゃない。カリムに仕えるからにはそれなりの品格ある奴になってもらわないと困る。いまやスマホは必需品。持ってないなんて一般人以下だ」…うっ」
彼としては当然のことを言ったまでだろうけど、なかなか胸に刺さる。
「支給？品格…？」
「ごめん、お母さん。ちゃんと話すから」
「そうなのね。Aがそう言うなら待つわ」
「うん、ありがとう」
もう暑いだろうから、テントに戻ってて
そうね、ありがとうA
「…ふぅ」
「…人の親をどうこう言うのはあれだが…なんだか不思議な人なんだな」
「うん。少し天然だけど、優しい人よお母さんは」
「そうか。……じゃあ、俺は戻る。既にカリムが何かしでかしてる予感がするからな」
「あ、あはは…」
そう会話を切って、来た時と同じようにひょい、とラクダに乗ったジャミルさん。背を向けて、今にもラクダを走らせようと手をあげたのが見える。
「っ、またね！！」
＿＿＿それはもう、反射的に。
私の大声にぎょっとした顔のジャミルさんが振り向き、思った以上に声が出て同じくぎょっとした私と目が合う。
「…っくく」「…ふふ」
お互いのマヌケな顔に、笑みがこぼれる。
それだけで胸がポカポカと暖かいもので満たされていくんだから、幸せだった。
「またな、A」
そう言った彼の笑顔は、今まで一番、幼く見えた。
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のま(プロフ) - コッペパンさん» 更新止まってしまって申し訳ないです泣。応援ありがたいです…！最近リアルがばたついていて、相変わらずの不定期更新になりますが、完結まで頑張ろうと思っていますので、引き続きよろしくお願いします！m(__)m (2020年9月5日 16時) (
レス) id: 7b6725898c (このIDを非表示/違反報告)
コッペパン - このお話本当に好きです……！！！とても良いところで止まっているので続きが気になります！(((o(*ﾟ▽ﾟ*)o))) 応援しています！これからも頑張ってください！ (2020年8月22日 18時) (レス) id: fe7138416d (このIDを非表示/違反報告)
のま(プロフ) - アヤさん» ざわざわ…()実はTwitterで習得済みの知識だったりします(。あの描写をどう捉えるか…全て読者様次第です笑 (2020年8月3日 22時) (レス) id: 354945433c (このIDを非表示/違反報告)
アヤ - すんごいどうでもいい話なんだけど、タコの8本足の内一本は珍子らしいよーってツイステ民の5割りが騒いでた(( (2020年8月2日 2時) (レス) id: aa6ec04d37 (このIDを非表示/違反報告)
のま(プロフ) - 花さん» ありがとうございます！これからも頑張ります〜 (2020年8月1日 16時) (レス) id: d72737bac0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：のま | 作成日時：2020年6月13日 19時
