外出準備 ページ10
「ただいま」
「おかえり
このドラマ、おもしろかったわ」
「……」
「あとこれも」と言って、楽しそうに録画一覧を指差すキバナさん。
…仕返しになってないなぁ。
(まぁ、いっか)
ネタバレしまくる彼をスルーして、スーツから私服に着替えようとクローゼットに向かう。
何を着ていこうと考える中、ふと違和感に気づいた。
「…これ、昨日のシャツ…?」
「あ、洗濯物畳んどいた」
「…………は?」
嫌な予感がして、下着類を入れてある棚を開ける。
…多分、昨日つけていたと思われるソレが綺麗に入れてあった。
(すっかり取り込むの忘れてたしやってくれた事は感謝すべき事なんだろうけど下着を触られた事にキレさせてくださいてかポケモンの世界の住人ってこんな感じなの?これが常識?へ、ならどうすればああああ)
「おーおー、顔が真っ赤だぜ?」
「……うっさい」
「お、敬語外れた」
「です」
「…外してていいのになぁ」
荒ぶる気持ちを抑えつつ、なんとか着替えてリビングに戻れば、案の定からかわれた。
「にしてもよ〜ウブだよな、オマエ」
「アナタの距離感がおかしいんです」
ウブではない、はず。
普通はほぼ初対面の状態でキス寸前まで顔を近づけたりしないし、ほぼ初対面の状態で洗濯物(ましてや下着まで!)を畳む男はいない。
私はそれに動揺してるだけであって、ウブじゃない。ウブじゃないんだ。
「……」
「…何ですか、急に静かになって」
「…無表情のようで、全部思ってる事顔に出るタイプなんだなぁと」
「勘違いだと思います」
勘違いであってください。
そんな自分の一面知りたくなかったし、そんな事言ったら今私の考えてることはお見通し!って言われてるみたいでもう何も考えられなくなる…
逃げるように「行きますよ」と声をかけて、玄関に向かう。
「はーい」と間延びした返事に、『やっぱコイツを外に出すのはやめようか』なんて思う。
…まぁ、流石にそれは大人げないからやらないけど。
先に通路に出て、彼を待つ。
しかしいつまで経っても、彼は出てこなかった。
「?…どうしたんですか」
「靴がねぇ」
「靴…」
そういえば彼は気づいた時にはリビングに居たと言っていた。
外から入ってきたわけじゃないから、靴もないのか。
そう納得したはいいものの、生憎我が家には男物の靴がない。
「……お留守番しててください」
「えー…」
彼の初外出は、思わぬ壁の出現で延期となった。
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遙(プロフ) - HA LUさん» 嬉しいお言葉です…!他ジャンルに沼ってしまい、ゆっくりな更新ペースになると思いますが、どうかよろしくお願いします (2020年5月19日 8時) (レス) id: d72737bac0 (このIDを非表示/違反報告)
HA LU(プロフ) - とても面白いです!更新頑張ってください! (2020年5月17日 18時) (レス) id: 4520b61900 (このIDを非表示/違反報告)
遙(プロフ) - 闇夜月さん» 毎日更新出来なくて申し訳ないです…!コメントありがとうございます! (2020年4月14日 15時) (レス) id: d72737bac0 (このIDを非表示/違反報告)
闇夜月 - とても面白いです!毎日更新を楽しみにしています!頑張って下さい!! (2020年4月14日 10時) (レス) id: 07dc54a395 (このIDを非表示/違反報告)
遙(プロフ) - 青さん» 嬉しすぎるお言葉です…!昨日更新できなかった事が悔やまれる…ありがとうございます!がんばります! (2020年4月4日 11時) (レス) id: 2dcdbc064e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:遙 | 作成日時:2020年3月26日 20時