煙草 キバナside ページ6
「………寝れねぇ」
目を開ければ見慣れない天井が目に入る。
体を起こして時計を見れば、それは深夜の2時を指していた。
(気分転換に水でも飲むか
…気になることもあるし)
そんなワケで寝室を出て、ふかふか布団で寝ているはずのAが居るリビングに向かう。
ガチャリと扉を開ければ、案の定…ソファーですやすや寝ている彼女を見つけた。
「やっぱりなぁ」
＿＿「オマエが寝室行きゃあいいだろ」
＿＿「…私はここにお客さん用の敷布団引いて寝るんで」
あの変な間の答えがこれだ。
…彼女なりの優しさなんだろうが、居候すんのはこっちだ。
それに女にこんな気を使わせたくねぇ。
(水飲んだら、寝室に運んでやろ)
世界が違うといえ、家の造りは似ている。
食器棚から適当なコップを選んで、キッチンで水を入れる。
ゴクリとそれを飲み干せば、軽く洗って水切りカゴに置いた。
「…キバナ？」
(起こしちまったか)
そこそこ音が立っていたのか、起こしてしまったらしい。
目を擦りながら、オレを見る彼女の服は乱れていて、思わず目を逸らす。
「寝れないの？」
そんなオレの気も知らずに、彼女は立ち上がってこちらに近づいてくる。
あーやめてくれよ。いや、やめてください。
そう心の中で言っても届くはずがなく、「来て」と彼女はオレの手を引いた。
「………ベランダ？」
「そ」
連行されたのはベランダで。
「なんでだ」と思っていると、一本のタバコを渡された。
「オマエ、タバコ吸うの？」
「……」
彼女は黙ってうなずく。
「……上手くいかなくてイライラしたり、モヤモヤすることがあったり…
そんな苛立ちだとか、焦りだとか、不安だとか…
いやーな気持ちを吐き出したいときに吸うの」
そう言ってタバコに火をつけた彼女は、ゆっくりとその煙を吸って、ゆっくりと吐き出す。
それは彼女の言う『いやな気持ち』を吐き出しているようだった。
「寝れないくらい、考えちゃうなら…
一回全部吐き出してみるのもありだと思う
気持ち、切り替えれるよ」
「！！
(笑った…！)」
まさかこんなところで初めて笑うところを見れるとは。
不意打ちに近かったその笑みは、タバコを吸うという動作に反した、酷く子供っぽくて無邪気なものだった。
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遙(プロフ) - HA LUさん» 嬉しいお言葉です…！他ジャンルに沼ってしまい、ゆっくりな更新ペースになると思いますが、どうかよろしくお願いします (2020年5月19日 8時) (
レス) id: d72737bac0 (このIDを非表示/違反報告)
HA LU(プロフ) - とても面白いです！更新頑張ってください！ (2020年5月17日 18時) (レス) id: 4520b61900 (このIDを非表示/違反報告)
遙(プロフ) - 闇夜月さん» 毎日更新出来なくて申し訳ないです…！コメントありがとうございます！ (2020年4月14日 15時) (レス) id: d72737bac0 (このIDを非表示/違反報告)
闇夜月 - とても面白いです！毎日更新を楽しみにしています！頑張って下さい！！ (2020年4月14日 10時) (レス) id: 07dc54a395 (このIDを非表示/違反報告)
遙(プロフ) - 青さん» 嬉しすぎるお言葉です…！昨日更新できなかった事が悔やまれる…ありがとうございます！がんばります！ (2020年4月4日 11時) (レス) id: 2dcdbc064e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：遙 | 作成日時：2020年3月26日 20時
