J.S.B.旅館

山乃庵 ページ6

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美味しいオヤツにありつきたくなると、
童は此処を訪れます。









「ただいまー」


健「おかえりー。楽しかったか？」







ジロ美ちゃんが若女将をしている、山乃庵




出迎えてくれたのは、
笑顔が可愛い、山乃庵の若主人。

そう、ジロ美ちゃんのお婿さん。
名前は健二郎くん。







「ん。啓司様見てメスになってきた。」


健「旦那としては複雑な心境やな…」







「ジロ、、」


健「ん？」


「ありがと。行かせてくれて…」







健「……えーって。気晴らしなったやろ。」


「……うん。ジロはやっぱり優しいね。」


健「惚れとるからなー。しゃーないわ。」






クシャッとした笑い顔を見せ
ジロ美ちゃんの頭を撫でた健二郎くんですが…
ジロ美ちゃんは浮かない顔。







健「わらび餅食べるか？
美味しいもん食うたら元気でるやろ？」






はーい♡
元気になりたい子が此処にもいまーす！





山乃庵の売りは、ウェルカムスイーツ。

訪れた宿泊客には、
若女将特製和菓子が振る舞われます。





此処で出てくるお茶は京都産で
美味しいと有名









健「今日のも美味しいに出来とるで。」








しかし、若女将特製と謳われる和菓子を作っているのは、ジロ美ちゃんではなく
健二郎くん。




内緒です。決して口外してはいけません！
山乃庵のトップシークレットなのです。





童は度々 山乃庵を訪れては、
健二郎くんの作る和菓子を
盗み食いしてるってわけ。









「わらび餅食べに来る？って花ちゃん誘ったんだけどね？

牡丹ちゃんのお迎えがあるからって…断られちゃった…」



健「………」







目を伏せてしまったジロ美ちゃん…

お口の周りを きな粉まみれにしてる
童の目の前にしゃがみ込み、
健二郎くんは そっとジロ美ちゃんの手を取ります。








健「あんまり焦ることないって。
ほら、これ食うて元気だし！」









そして、この二人には
もうひとつ秘密にしていることがあるんです。









健「俺は、お前がおったら ほんでえぇよ。」



「……私は、、
やっぱりジロに赤ちゃん抱かせてあげたい」



健「……」



「私だってジロの子供欲しいし、
ジロ子供好きじゃん！」



健「やからって焦らんでもええねんて…」









この夫婦は、赤ちゃん待ち






時々こうして感傷的になってしまうジロ美ちゃんを、いつも優しく受け止めてあげるのは
健二郎くんの役目です。

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