◇ ページ17
「あのそんなに見つめられるとさすがに」
『ご、ごめんなさい』
「いえ、もしかして僕のこと大学生って思いました？」
『へっ!？えっと、ごめんなさい、年下なのかなって』
「よく言われますから気にしてないです。去年大学卒業して今年25になります」
今年25歳…2歳年上だった、少し信じられないとか思って目の前の山本さんに心の中で謝る。
『あ、私はAAと申します。この春大学を卒業して新社会人になります、今年23です。』
「あ、だから今日が最後なんですね」
『えっ？』
「ここで飲むの最後だってさっき言いましたよね？1日から勤め始めるのならさすがに前日は飲まないだろうし今日が最後でしょ？」
『そ、その通りです』
この人ひょっとして頭もいい？あんなちょっと話したことからそこまで分かるものなの？
「さく…あ、やばっ」
さく？そう言いかけて慌てて口元を両手で押さえる彼を見て首を傾げてるとめちゃくちゃ恥ずかしそうに話し始めた。
「あの、えっと僕勝手にAさんのこと"さくらちゃん"って呼んでたんです、その癖が出ちゃいました、気持ち悪いですよね？ごめんなさい」
徐々に申し訳なさそうにこちらを伺いながら謝る山本さんに小動物みを感じてキュンとしてしまった。
『そ、そんなことないですよ？頻繁に夜桜眺めてる女に遭遇してたら私でも愛称つけちゃいますもん』
『そう言えばさっき助けて貰ったときもさくらちゃんって呼びましたよね？』
「あ、はい。彼らに知り合いっぽく見せたかったので仮の名前で呼んじゃいました。でももうAAさんって名前覚えたので"さくらちゃん"って呼ばないように気をつけますね」
真っ直ぐこちらを見つめて言ってくれる彼。
「あの山本さん、それなら家までお願いしてもいいですか？」
『はい、もちろんです』
そうして並んで歩きだす。公園から出て左に曲がると山本さんは、やっぱりお家こっちの方なんですね僕もですなんて言った。なんかご近所さんなのかもしれないと思うと少し嬉しく思うのはなんでだろう？
数分歩いて自宅マンションの前で足を止める。隣の山本さんを見ると驚いた顔をしている。どうしたんだろう？
『あの私の家このマンションなんです、送って頂いてありがとうございました』
「ちょっと待って…え本当に？」
何か混乱してるのかな？不思議に思いながらも本当ですよ？と答えるとそうなんだと小さく頷いていた。
「驚くかもしれないけど僕もこのマンションなんだよね…わりと長く住んでるけど今までAさんのこと見かけたことなかったから驚いちゃった」
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作者名：*ゆ う* x他3人 | 作者ホームページ：
作成日時：2021年3月14日 6時
