＿ ページ16
・
Aから作詞の話が持ちかけられたことが、未だに信じられなかった。
少し冷静になりたくて、新鮮な空気を取り入れるために窓を開ける。
窓辺に立ち、深く深呼吸したあとに外を眺めた。
学校の周りに目立つものは何もなく、空と山、木に田畑、それに人のいない道や電柱しか視界には映らない。
情けないほどの田舎町だ。
観光も望めず、製造業だけが唯一の支えになっていた。
そんな田舎町の公務員となり、平凡に生きて、平凡に生涯を終える。
育ての親である祖父母の傍にあり続け、看取る。
俺の人生は高校二年生にして既にある程度決まっていた。
それは誰に強要されたわけでもない。
俺が選んだ、心から進みたい道だ。
大学受験とは異なり、高卒枠の公務員試験は夏の終わり頃に筆記試験が行われる。
ちょうど残り一年だ。
コンクールへの応募を終えた今、切り替えていく必要がある。
だけど……。
“阿部くんと一緒に、歌を作れないかってこと。私が作曲で、あなたが作詞で”
Aの言葉が思い出されると、俺はスマホのメッセージアプリを開いていた。
先ほど送ってもらった音源を再生する。
風のように何かが俺の中を通り過ぎていった。
紙をめくりシャーペンを動かす音だけしかしなかった部屋に、ギターの優しい音色が響いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 102人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
蓮和(プロフ) - あやかさん» よかったです^^ おぉ！気に入ってもらえて嬉しいです！またご感想やもろもろよろしくお願いします^^ (3月4日 22時) (
レス) id: 69e5d6eaed (このIDを非表示/違反報告)
あやか - ありましたー！めっちゃ好きな感じのお話でした!!!これからの展開楽しみです！ (3月4日 7時) (レス) id: 61da00fff5 (このIDを非表示/違反報告)
蓮和(プロフ) - あやかさん» そうなんですね… えっと検索して一番上にでてくる目黒さんのお話私のです^^ 分かりにくくてすいません ^^; (3月3日 23時) (レス) id: 69e5d6eaed (このIDを非表示/違反報告)
あやか - すみませんログインがダメで..reoって検索掛けたんですけど、どれか分からなくてもう少し詳しく教えてください🙏 (3月3日 21時) (レス) id: 61da00fff5 (このIDを非表示/違反報告)
蓮和(プロフ) - あやかさん» こちらこそです^^ えっとログインってされてないですよね？それならreoと検索掛けてみてください^^ ログインされているのであればメッセージにきていただけると有難いです！ (3月3日 20時) (レス) id: 69e5d6eaed (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
