11話 誘拐の先 ページ11
徐々に目が開く
あれ、暗い？
それに手が動かない？
どうなって…
三日月さん？
鶴丸さん？
こんのすけちゃん？
名を呼ぼうとしても口が開かない
どうやら、布で塞がれてるみたい
私は上体を起こした
そしたら、首筋にあたる鉄
きっと刃物だ
という事は刀剣様
「そのまま黙って聞け人間」
「(こくん)」
「お前、俺たちに何もしないって約束できるか？」
「(こくん)」
「‥人間に頼るのは癪に触るが、あの三日月を開かずの間から出したんだ
お前なら出来るか？」
「(何がだろうか？)」
「俺は兄者を‥兄者を助けられない
兄者を元に戻してくれ、人間」
視界が広がる
暗かったせいか少し視点が合わない
徐々にその視点が回復し
上を見あげれば
緑髪の刀剣様が紫の風呂敷を持っていた
私はその刀剣様を見つめる
お前を攫ったことは謝る、すまなかった
騒がれると面倒だからな
そう言った刀剣様
ブラック本丸は危ないって言ってたけど
そうでもないと思った
案外、優しい人じゃなくて刀だな
「兄者だ」
「えっと‥折れてる刀が、ですか？」
「あぁ
俺は膝丸、兄者は髭切
俺たちは源氏の兄弟
無理な出陣で兄者は俺を庇って‥！！
一番強いから、ただその理由でずっと
出陣させられ、手入れされず
顕現したての俺を守るために
兄者が庇ってくれたのだ‥
人間は大嫌いだ、傲慢で自分のことしか考えてない、欲まみれの俗物
だが、もし兄者がお前の手によって
蘇るなら‥
頼む、兄者を
兄者を治してしてくれ！」
人間が大嫌い
そんな嫌いな人間に頭を下げるのは、きっと屈辱なんだろうな…
でも、そんな屈辱さえ味わってもいいから
人間に頼みを乞う
兄弟思いがそれさえも越えてしまう
私には無いものを持っていて
とても、羨ましくて
とても、眩しい
「わかりました」
「いい、のか…？」
「はい
だって、頼まれましたから」
「お前になんの得もないのだぞ…？」
「誰かに必要とされたり
頼られたりされるのが
私はすごく嬉しいのですよ
私にはそれだけで充分です」
「変な女だ
前の人間はそうじゃなかった‥」
「みんな、その方と同じならきっと
私も同じような人間になってましたね」
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三三七拍子 - 源氏兄弟の名前のくだり、もうほんっと大好きです！ (2019年6月26日 10時) (
レス) id: fda3082ed3 (このIDを非表示/違反報告)
ノエル(プロフ) - オリジナルフラグ外せば違反にならないから、今のうちに外してしまおう？ (2019年1月12日 16時) (レス) id: 9e58c80ee2 (このIDを非表示/違反報告)
夕美 - オリジナルフラグちゃんと外して下さい、違反です。ルールくらい確認しましょう (2019年1月12日 16時) (レス) id: a2860cc4ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ベスくん | 作成日時：2019年1月12日 16時
