太宰さんの女癖が悪すぎるので仕返しをする所存である【太宰治】

仕返し4 ページ5

「ﾊｧ･･･ゆかりさぁん、迎えに来たよ･･･ﾊｱ･･･ﾊｧ･･･」


うっわエンカウントとかマジでやめてもう呼吸がキモい私のSAN値直葬(白目)車で来たのは評価してやるけどね、窓に指紋べったりで汚い。それが女を乗せる車の状態ですかあんた！？って説教してやりたいところだけど私の役割はゆかりさんを護ることだ。そういうのは与謝野先生に任せよ。


「ほらアンタたち、下がってな。･･･お兄さん、ゆかりさんと知り合いかい？」

「貴女は･･･？ああ、ゆかりさんのお友達ですか？初めまして、僕はゆかりさんの婚約者の「違う！」･･･え？」

「貴女なんか知らない、見たこともないわ！私の後をつけ回したり変な手紙を送ってきたり･･･いい加減にして・もううんざりなの！！」



涙を浮かべながら訴えるゆかりさんは震えていて、どれだけ怖い思いをしたのかと思うと胸が痛む。彼女を落ち着かせようと男に背を向けた、その瞬間



「･･･るな･･･」

「え･･･？」

「ふざけるなよ！！僕を知らない？恋人である僕のことをしらないだと！？つけ回したんじゃなくて見守ってやっていたんだろう！変な手紙？あんなに愛をささやいてやったのになにが変な手紙だよ！！人を馬鹿にするのもいい加減にしろ！！！」




振り向くと一度バックした男の車は急激にアクセルを踏み込み、こちらへと向かってきていた。いくら与謝野先生でも走行中の車は止められず咄嗟の回避で精一杯だ。花吹雪を使おうにもこの狭さじゃゆかりさんまで傷ついてしまうし、かといってここで止められなければ車は一般道へ飛び出し大事故が起こってしまう。向こうが現れやすいように狭い一本道を選んだのが裏目にでてしまった。ならば、私がとるべき行動は･･･！


ゆかりさんを道路の端に突き飛ばし、まっすぐ車を見つめる。男はやはり激高して周りが見えていないようだ。二人が車道に残った私を見て声を上げるが、私にはこれしか思いつかないのだ。



「与謝野先生、私の治療お願いしますね」



生身と車の衝突だ。車に乗っている男もさすがに人を引けば衝撃で正気に戻るだろうし大したけがも負わないだろう。私はたとえ重傷でも死ななければ与謝野先生がどうにかしてくれる。そう思って目を閉じた、そのときだった




「っにやってるんだ！！」




私の肩を優しく抱く温かな手の感触と急激に止まったタイヤが上げる悲鳴。

恐る恐る目を開けると、腕を変化させた敦君が怒ったように私を見つめていた。

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