仕返し19 ページ22
「おはよう、A」
差し込む朝日に目を覚ませば、蕩けるように甘やかな声が聞こえた。声の聞こえた方を見遣れば、幸せそうな笑みを浮かべた太宰が肘枕をして此方を見つめていた。
「おはよ。・・・っ」
「おや、どうしたんだい?」
「腰、痛い」
「それは大変だ」
態とらしく驚く太宰を恨めしく思いながら、私は己の腰がこうなってしまった昨晩の出来事を思い出していた。
情欲を孕んだ太宰の視線。その手つきは優しく、私を─────いや、思い出すのはやめておこう。考えを察知されでもしたら手が付けられなくなってしまう。この状態でそんな太宰の相手をするのは不可能だ。
「何時?」
「丁度7時を指したところだよ」
「じゃあ準備しなきゃ」
手伝ってと伝えれば、相変わらず微笑んだままの太宰。この痛みを抱えてすべて1人でこなせと言うのだろうか?此奴だって原因の一旦を担っているというのに。
「嗚呼、そんなに怖い顔をしないでくれ給えよ。先刻、少し早かったが敦くんに連絡を入れた」
「連絡?遅刻の?」
「いや、今日は1日休暇だ。腹上死からの心中は叶わなかったがお姫様の腰に深いダメージを与えてしまったので、と伝えておいた」
「馬鹿じゃないの!?」
「勿論一言一句違わずに国木田くんに報告する様に釘を刺しておいたよ」
2人の真っ赤な顔が浮かぶ様だと脳天気な表情を浮かべる太宰。最悪だ。明後日からどの面下げて出勤しろというのだ。
「もう恥ずかしくて探偵社に行けない・・・」
「行かなくたっていいさ、私が君を養おう」
「お金の問題じゃないから!」
「そう、残念だ。・・・ところで、先ずは其の刺激的な格好をどうにかするというのはどうかな?」
刺激的な・・・?改めて体に意識を集中させると、自分が下着しか身につけていないことに気づいた。ペラリと布団を捲ろうとする太宰の手を止め睨みつけるが、太宰は相変わらずクスクスと笑うだけだった。
「言ってるそばから捲らないの」
「良いじゃないか。昨日はもっと凄いことをしたのだし」
「〜〜〜最低!」
頭まで布団を被ることで抗議すると太宰はもぞもぞと私が隠れる布団の中に潜り込み、楽しそうに笑った。
「A、」
「・・・何よ」
「ありがとう」
君のお陰で、私はとても幸せだ。
その目尻に浮かぶ水滴を見ないふりをして、私達はずっとずっと、ベッドの上で抱き合っていた。
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柏村 - ヤッバイ超面白い(語彙力)。・・・・・あの、仕返し10の、合うションって、アクションじゃないですかねすいません間違ってたら。もしなにいってんだコイツってなったら掃除機かなんかで吸ってください(マジでなにいってんだコイツ) (2018年7月15日 0時) (レス) id: 67a0056d03 (このIDを非表示/違反報告)
榛名(プロフ) - ゆーるさん» 提供ありがとうございます〜!素敵ですか、嬉しいです^^花霞綺麗な苗字ですね、新しい主人公が儚い系なので合いそうです。その方向で検討してみます〜! (2018年4月30日 20時) (レス) id: e4369de0d9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーる - はじめまして、コメント失礼します!お知らせ見ました。個人的には今の夢主ちゃんの能力素敵だなあと思うので、そのままだと嬉しいなあと思いました!苗字もそのままがいいと思います。ただ、花霞も可愛いなあって思いました! (2018年4月29日 20時) (レス) id: 2e4433e0e4 (このIDを非表示/違反報告)
榛名(プロフ) - ワッさん+aさん» ありがとうございます〜!夢主褒めていただいたのは初なので嬉しいです!GWで大量更新できればな〜と思ってます! (2018年4月29日 19時) (レス) id: 4796646cb6 (このIDを非表示/違反報告)
ワッさん+a(プロフ) - 面白いっ!!!思わず吹き出しましたっ!!嫉妬する主人公が可愛すぎですっ!更新頑張ってください! (2018年4月29日 6時) (レス) id: 0cdcac71cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:榛名 | 作成日時:2018年4月2日 4時