孤独な少女は知っている 番外編

若武の誕生日5 ページ5

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で、ここに美門が来た理由は、なんとなーく理解した。
理解したはいいけど、よろしくね、なんて言えなかった。

……うん。やっぱり、気まずい。
何であの時、腕を掴んだのか聞くことは出来ないし。



そもそも、人違いの可能性だって、ある。
私は顔をしっかりと見たつもりだけど、人違いかもしれない。

なんか……なんというか、この複雑な状況は拭いきれないものなんだ。




挨拶がしにくいのは、
こう見えて私、人見知りだから緊張するっていうのもあるのだけど。
緊張をほぐす為に、息をしっかり吸ってから、美門に自己紹介をした。




『初めまして。私は井上A。つい最近、探偵チームKZに入ったばかり。
貴方のいない時に入ったみたいで、誰だこいつって思うかもしれない。
だけど、KZの力に役立つ為に全力を尽くすつもりだから、よろしく。
あと、貴方に会えてとても光栄です。総合のとこ、勝手だけど、ライバルとして見てる』


ああ、長いとこ、全部言い切った！



ホッと息をつくと、美門は少し驚いたあと、クスッと笑った。

思うけど、みんな揃ってクスッと笑うよな。
それが、上品で気品のある、笑い方なのかもしれないが。




「ごめん、ちょっと、面白いなと思って。俺は美門翼。
確か、同じクラスだよな。総合だとずっと1位だよね。
会えて光栄だ。俺もライバル心持ってるよ...あと、」




美門は、私の耳に近づいて悪戯に言った。




「俺ら、初対面じゃないでしょ」




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