＊ ページ32
｢移動教室！急ご！｣
｢ちょっと待って〜！！｣
その後職員室でスリッパを借り無事に事なきを得た冬羽。時間は流れ4時間目。昼休みも終わり移動教室の準備をしているところ。
「よっしゃおっけい」
「よしよし、行こか」
時間が無いので急いで教室を出る。あと1分で化学室？無理無理無理無理。やばい(語彙力✕)
「うわっとっと…」
「大丈夫！？」
「平気〜！いやぁ、スリッパ脱げやすくてなぁ…」
「…ゆっくり行こか」
まじでココ最近の冬羽の不運っぷりは見ててたまったもんじゃないので授業を犠牲にゆっくり行くことを選んだ。
「平気やって！見ててみ冬羽ちゃんのウルトラ階段ダッシュ！！」
そう言って冬羽が階段を駆け上がる。おぉおぉあのカパカパスリッパでよう走りおる。あっという間に化学室の階までたどり着いた冬羽をゼェゼェ息を切らしながら追いかける。
「冬羽…はっ…やい…」
「何言うてん、運動部やろ。ちゃんとしぃや」
「うっ…るさ…」
やっとの思いで上まで辿り着くと見覚えのある女子生徒が後ろから近づいてくるのが見えた。どこで見たんだっけ、あまり前ではなかった気がする。
もしかして…あれは…
「っ…！！！」
ドンッ
気づいた時には遅かった。
見かけた女子生徒は朝の子で、その子は気づいたらもうすぐそこにいて、私は押された冬羽を見つめることしか出来なかった。
「冬羽っ！！！！」
「、あ…」
そう言って伸ばした手は空を斬り、虚空をつかむ。
私の手元に残ったのは、後悔のみだった。
･
キーンコーンカーンコーン
･
虚しいまでにチャイムの音が鈍く響く。スローモーションのようにゆっくり感じるのに、あと少し伸ばせば届くのに。
ドスッ…
私を嘲笑うかのように質量のある音が踊り場に響く。
急いで冬羽の元に駆け寄る。
落ちた冬羽は目を開けなかった。
「ッ…」
ギリッと音が出るくらいに歯を食いしばり、冬羽を抱きながら犯人を睨みつける。
逆光で不気味な程に照らされた彼女の顔は酷く美しく悦に浸るように微笑んでいる。
その顔が歪んで見えたのは涙のせいか陽炎のせいかはわからなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 553人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
水飴(プロフ) - hopeさん» はっっっレス遅れてしまいめっっっっちゃ申し訳ないです…ごめんち…あー！百合好き！分かります！！！これからも好きをあふれて貰えるよう（？）頑張ります！応援よろしくお願いします！！ (2020年7月20日 21時) (
レス) id: 57a2a5c5a9 (このIDを非表示/違反報告)
hope(プロフ) - 初コメ失礼します。ほんとに好きです。夢主ちゃんの冬羽ちゃんといたい思いが上手くメンバーに邪魔されてるのが好きです(百合好き)。ページが更新される度に好きが溢れるので、作者さんの最高を時間をかけて作り上げてくれると嬉しいです。いつまでも待ちますので！ (2019年12月23日 22時) (レス) id: a16430d277 (このIDを非表示/違反報告)
ふう(プロフ) - お久しぶりです〜鬱くん。ダメだよ？ (2019年11月25日 18時) (レス) id: 0f2e7dcacf (このIDを非表示/違反報告)
ちゅーいち - 初コメ失礼致します！読んでいて、とっても面白かったです！これからも更新頑張ってください！応援しております！ (2019年11月2日 14時) (レス) id: 207201b0bc (このIDを非表示/違反報告)
ふう(プロフ) - フラグ回収乙ですわ〜ww (2019年8月27日 8時) (レス) id: 98934c9ea5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：水飴 | 作成日時：2019年7月29日 23時
