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頑張ると決めたけれど……やっぱり緊張するはする!
手足がガチガチだよ〜……
「はい、どうぞ」
優しそうな女性に横から紅茶を差し出された。
「あ……ありがとうございます」
「いえいえ」
頬に手を添えて微笑む彼女は、きっと奥様だろう。
ガラリと横の扉が開かれる。
その音に肩を揺らす。
扉を見ると頑固そうな威厳のある方がいた。
荒野君のお父様だろう。
敵というかボスというかラスボスというか……
それを目の前にまた心臓がうるさくなり始めた。
荒野君のお父様が前の席に座る。
来てしまった……時が……
「父上……」
「見たぞ。大会」
緊張した面持ちで荒野君が口火を切ろうとした時、
お父様が割って言った。
「あっ……そうでしたか……すみません、優勝は取り逃してしまいました」
「そうだな」
悔しそうに事後報告をする荒野君に、単調に返事をしたお父様。
「……で、でも!また大会に出て優勝を取るまで__」
「素晴らしかった」
「……え」
思ってもみない言葉に私達二人は固まった。
「お前の演奏は素晴らしかった。優勝するという条件はあれでパスとする」
「えっ……でも……」
これは夢なのではないかと思う程、欲しい言葉が厳かな口から放たれていく。
「あの大会でお前に何が足りないか分かっただろう。お前の技術は高いが、まだ荒削りだ。しかしその時点で2位に登る程に皆の心を掴む演奏をなし得た。伸び代は未来の力だ。それをどれ程自分のものにするのか。それがこれからの課題だ。分かったか」
「……は、はいっ!」
信じられないとぼーっとしていた頭に喝を入れて、返事をする荒野君。
「して……そちらは?」
ギロリと目線がかち合い肩が震えた。
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ゆき猫(プロフ) - ここさん» 閲覧頂きありがとうございます!お待ちいただけると幸いです! (2023年2月1日 23時) (レス) id: a93230bf5d (このIDを非表示/違反報告)
ここ(プロフ) - ゆき猫さん» 見ました〜!!何回見てもドキドキします>_<気長に待ってます!! (2023年2月1日 17時) (レス) id: 977f95a8e1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき猫(プロフ) - ここさん» 応援ありがとうございます!番外編2も投稿してありますので良かったら!ブルームーン編も鋭意制作中ですのでもう少々お待ちください! (2023年1月30日 17時) (レス) id: a93230bf5d (このIDを非表示/違反報告)
ここ(プロフ) - めちゃくちゃ好きです、、😖💕続き待ってます🙏🙏 (2023年1月28日 18時) (レス) id: 977f95a8e1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき猫(プロフ) - 和鼠さん» ありがとうございます!お待ちしていますね! (2023年1月2日 8時) (レス) id: a93230bf5d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆき猫 | 作成日時:2022年8月3日 21時