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続き ページ19

然し、どんなに彼の想いを聞こうと、私が彼に近付こうと、もう二度と逢えやしない。


『冨岡さん…』


彼の双眸から流れ落ちる涙さえ拭ってやることが出来ないのだ。


『…冨岡さん、泣かないでくだらないよ』


冨「俺を置いていかないでくれ」


『っ、冨岡さん、』


決して交わらぬ視線、噛み合わない会話
もどかしさだけが募っていく、そんな時。


「いってあげて、」


「ほら、お前が泣くなよ」


『…!!』


錆兎と、真菰だ。二人が背中を押してくれた


『っうん、』


触れられない手を伸ばし、彼の頬に添えるがやはり雫は私の手をすり抜ける。それ所か彼は俯いたままだ。


『義勇お兄ちゃん…なんて』


巫山戯て呼んでみると、なんと彼は顔をあげた。
交わるはずの無い視線が交わる


冨「夏…」


『冨岡さん』


届くことの無い声が耳に届く


冨「…夏、どうしてっ、」


『泣かないで、貴方が泣いてしまうと私も悲しい』


話さずとも、不思議とお互いの心情は伝わった。何とも不可思議な噺だが、事実私達はお互い満たされた表情をしているだろう。


冨「この花に誓って、お前を忘れない、」


『ふふ、忘れたら祟ってやりますよ』


『さぁ、時間です、行ってください』


私がそう言えば名残惜しそうに彼は立ち上がり背を向けたまま歩き出す。彼ならもう大丈夫だろう。私の事は過去の出来事だ。
未練など、もう無い。


冨岡が振り返る先に夏の姿は無い。
辺り一面に咲く春紫苑の花と冨岡が持ち寄った紫苑の花だけが風に揺れる。
立ち去る冨岡と、消え行く夏の姿を見守り静かに涙を零す錆兎と真菰だけが残されていた。



紫苑 : 君を忘れない
春紫苑 : 追想愛

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坂口(プロフ) - あの、玄弥さんをいれてくれませんか。 (2020年6月12日 22時) (レス) id: 00b7ed554e (このIDを非表示/違反報告)
椿 - リクエストです!甘々な緑壱が見たいです! (2019年10月26日 0時) (レス) id: 9094ec668b (このIDを非表示/違反報告)
美桜 - みしろさん» みしろさんのTwitterの絵変わったんですね。呟きも再開したんですね。時々見ていました。忙しいけれど甘味処弐と他の作品自分のペースでやって下さい。 (2019年7月28日 21時) (レス) id: 87339a530e (このIDを非表示/違反報告)
ピザ - ありがとうございます! (2019年7月21日 20時) (レス) id: e3709cb648 (このIDを非表示/違反報告)
みしろ(プロフ) - ピザさん» リクエストありがとうございます!亀更新のため待たせてしまいますが、ぜひ書かせて頂きます!! (2019年7月20日 11時) (レス) id: 509e58e731 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みしろ | 作成日時:2018年7月5日 23時

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