私の「世界」は知っている (ページ5)

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3話ページ5

「おはよー」「昨日のあれさー…」「ちょっときいてよ…」
「何それ〜w」「あ〜まじだるい」「見てみて！」

いろんな声

たくさんの話題

それを発するクラスメイト

たくさんのものがごちゃごちゃとしている

学校でよく見る当たり前の光景だ

毎日ほとんど大差ないことで笑って、愚痴って、怒って、感動して

少し前まで私はこの空間が少し嫌だった

だって、私はいつもそんな空間の中でぽっかりと1人でいるから

別にそれが寂しいとか、会話に混ざりたいとか思うわけじゃないけれど

1人だけで、まるで逃げ場のない空間にいるようで少し息苦しかった

だから学校って授業する場所っていう認識が強かったんだけど

最近は少し違う

机に荷物を置いたタイミングで1人が駆け寄ってくる

？「おはよう」

ア「おはよう茉莉(まつり)」

最近仲良くなった友達の茉莉

美術の時間でたまたま隣になって、

きっかけはよく思い出せないけどお互いの家のことを話していくうちに仲良くなった

家庭環境とか自分に対する認識とか、悩みとか

そんないろんなことに抱く感情が似ていて、共感して

気づいたらお互い人に言えないようなことも全部さらけ出してた

それからはこうしてよく行動を一緒にしている

茉「今日ね、昨日言ってた彩ちゃんが好きそうな本を持ってきたよ！」
ア「ほんと？！ありがとう！」

私達だけの空間

周りのよくある風景の中でぽっかりと空いた空間

でも前と違って息苦しさは感じない

このぽっかりと空いた空間が、今は1番落ち着く

茉莉と話してる時は何も気にしなくていい

養子の立花彩も

クラスメイトとしての立花彩も

ただの立花彩としての私も

全部ひっくるめて見てくれる。話してくれる。聞いくれる

それがひどく落ち着く

KZのみんなとは違う、また違った平穏

KZのみんなは私を「私」にしてくれる場所なら、

茉莉は私を受け止めてくれる場所

茉莉も、私を必要としてくれる

話を聞いたり、どこかに遊びに行ったり、2人で明日のことを話す

それが茉莉の癒しになると知った

茉莉も私と同じ

家で苦しんで、学校ではただ息苦しさを感じるだけだった人

お互い人生を「捨てよう」とした思いを抱いたことがあること

未来なんて何も見えないこと

何気なく話す明日の予定が私達にとっては命綱になっていること

茉莉は友達

そして「理解者」

私達だけが意味を込めた話題で毎日を繋いでいる