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クリスマス短編つめ3[artr] ページ16

artr

tr視点


“今年のクリスマスは一緒に過ごせそうにない”

あろえからそうメッセージがきた時俺は、まあそうだろうな、と思った。

今年は某ウイルスのせいで色々とおかしくなってしまったので、仕事人はクリスマスでも経済をまわすのに忙しいのだろう。


「まあ、悲しい事には変わりないんだけどね」


一人、ベランダでため息をこぼす。

ほうっ、と吐いた息は白く、あっという間に消えていった。

何か女々しいなあ、俺。

舞う雪を見て、雪なんて久しぶりに見たなー、とかふわついた考えを消すように自分の頬をつねった。


「………うん、やっぱ痛いもんは痛い」


痛みをはっきりと感じたところで、手を離した。

……てか、成人男性が一人ベランダでこんな事してるって、キモたらパーカー着て街歩くよりヤバいよね。


「…………寒いしさっさと中入ろ」


室内に入ろうと、ガラス窓を開ける。

すると、テーブルの上に置いていた電話が鳴った。


「えっ、あ、ヤバ」


急いで室内に入り窓の鍵を閉め、名前も見ずに電話に出る。


「は、はい、もしもし」


数秒の沈黙の後。

息を切らした彼の声が聞こえた。


「た、たらこ?」


「えっ、あ、あろえっ!?」


驚いて声が裏返る。

そんな事も無視して俺は、あろえに話しかけた。


「え、仕事は?」


「早上がりになった。明日から2連休だって」


「な、何で!?」


あろえの言葉を聞き逃さないように、両手でスマホを押さえる。


「彼女いるんですよねーって言ったら帰っていいよーって言われたw」


「…………そんなんでいいんだ?」


「ねwまあ俺はたらこと過ごす時間が長くなるからいいけど」


「恥ずかしい事言うなあ」


帰って来るあろえの為にと、ポットで水を沸かし始める。


「あ、何か食べたい物ある?」


「んー?ピザとかどう?」


「おっけー、頼んどくから早く帰ってきてね」


「んー、待って」


急に電話が切れる。

何かあったのか、とかけ直そうとすると、外から自分の名前を呼ぶ声が聞こえた。


「………………?」


何だろう、と思って再びベランダに顔を出す。


「たーらーこー」


「……………!」


今度ははっきり聞こえた。

身を乗り出して下を見る。


「ただいま、たらこ」


「………おかえり、あろえ。寒いから早く入りなよー」


「りょーかい」


こうして俺は、幸せなクリスマスを過ごすのだった。

必読→←クリスマス短編つめ2[gngt]



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炎陽ラズカ - 大丈夫ですか?全然私は待ちますので体調が良くなってからでもそのあとでも待っていますので急がなくてもいいですよ。 (2021年3月23日 5時) (レス) id: 403ff892b2 (このIDを非表示/違反報告)
harumia(プロフ) - あいか( ・∇・)さん» ありがとうございます…m(_ _)m今体調不良拗らせてるので…。リクエストは難しいかもしれませんが少しずつ書けるように努めます…!! (2021年3月21日 20時) (レス) id: b677221bd0 (このIDを非表示/違反報告)
あいか( ・∇・) - 大丈夫ですか?体調良くない時などは休んでもいいんですよ? (2021年3月21日 20時) (レス) id: f4def8c313 (このIDを非表示/違反報告)
炎陽ラズカ - ありがとうございます。 (2021年2月7日 6時) (レス) id: 403ff892b2 (このIDを非表示/違反報告)
harumia(プロフ) - 炎陽ラズカさん» 確実に遅くなりますが了解です! (2021年2月6日 15時) (レス) id: b677221bd0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:harumia | 作成日時:2020年10月24日 23時

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