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クリスマス短編つめ2[gngt] ページ15

gngt




「クリスマスぅ?そんなの俺たちにはねえよ」


ぐっちは俺の問いにきっぱりとそう答えた。

まあ、そう言うだろうとは思った。

正直俺も、大人になってからはクリスマスという物をロクに祝った記憶がない。

記憶が無いだけなのかもしれないが。


「えー、俺たちもせっかくリア充になったんだから浮かれたってよくねえ?」


「…………世間サマに隠れて付き合ってるけどな」


「いーじゃん、俺ららしくて」


俺たちの関係を明かした人は今のところ限界のみんなのみ。

リスナーに明かすのも面倒くさい、というぐっちの発言のもと、公表するのは止めたのだ。


「あー、げんじんはどっか行きたいとことかあんの?」


「……………スキーしに行きたいな」


「それ分かる。年明けたら限界みんなで行こうぜ」


気がつけばぐっちは作業を止め、俺の方へ向き直っていた。


「あ、ココアでも淹れてこようか?」


「ん、頼む」


ぐっちは絶対にコーヒー淹れてこようか?とは言わない。

理由としては、自身が甘党だから。

俺は甘い物が好みではないが、ぐっちはそれを考慮して甘さ控えめのココアを淹れてくれる。

そういうさり気ないところが彼の良い所だな、と思う。

俺が物思いにふけっていると、何やらぐっちが少し慌てた様子で戻って来た。


「どした」


「ごめん、ココア切らしてた」


「あー、そっか」


「酒しかないけど」


「いいよ」


「分かった」


俺と数分の短い会話を終えると、ぐっちはトタトタとキッチンへと向かった。


「はたから見ればただの夫婦だよなぁ…」


たまにこうして性別の壁をもどかしく思うときがある。

でも、男同士じゃなかったら俺たちは確実に出会えていなかったのだろう。

それを考えると、やっぱりこの体に生まれてきてよかったな、と実感する。


「おまたせー」


しばらくして戻ってきたぐっちの両手には、ビール缶が2つと、ケーキの乗った皿が。


「……………?」


「…………や、恥ずかしい話なんだけどさ」


ぐっちはそれらをテーブルの上に置いて腰を下ろすと、躊躇いがちに口を開いた。


「……げんじんと初めて過ごすクリスマスだからさ。ケーキぐらいは、と思って」


「………ふは、何それ」


その可愛らしい行動に何だか嬉しくなって、ぐっちをそっと抱き寄せた。


「可愛いとこあんじゃん」


「…褒めてんのか貶してんのか」


そう言いつつもぐっちは、満足げに笑って俺の手を握った。

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炎陽ラズカ - 大丈夫ですか?全然私は待ちますので体調が良くなってからでもそのあとでも待っていますので急がなくてもいいですよ。 (2021年3月23日 5時) (レス) id: 403ff892b2 (このIDを非表示/違反報告)
harumia(プロフ) - あいか( ・∇・)さん» ありがとうございます…m(_ _)m今体調不良拗らせてるので…。リクエストは難しいかもしれませんが少しずつ書けるように努めます…!! (2021年3月21日 20時) (レス) id: b677221bd0 (このIDを非表示/違反報告)
あいか( ・∇・) - 大丈夫ですか?体調良くない時などは休んでもいいんですよ? (2021年3月21日 20時) (レス) id: f4def8c313 (このIDを非表示/違反報告)
炎陽ラズカ - ありがとうございます。 (2021年2月7日 6時) (レス) id: 403ff892b2 (このIDを非表示/違反報告)
harumia(プロフ) - 炎陽ラズカさん» 確実に遅くなりますが了解です! (2021年2月6日 15時) (レス) id: b677221bd0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:harumia | 作成日時:2020年10月24日 23時

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