第117話 ページ22
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一瞬の惨劇。
まるで目に見えない死神の大鎌に首を刈られたようなその光景は、趣味の悪い手妻を見ているかのようだった。
そのくらい、現実味というものに欠けていた。
一拍おいて、斬られた首からいっせいに血柱が噴きあがる。
何が、起こった____?
この部屋で息をしているのは、もはや昏倒する静蘭と茶太保だけだった。
____否。
次の瞬間、忽然と目の前に現れた人影に、茶太保は目を剥いた。
血塗られた剣を一振りして、その者は言った。
「王はあなたを特定されました。じき手勢を率いて藍将軍が到着します」
「捕縛は時間の問題です。……自首するおつもりは、ありませんか?」
茶「……なぜ」
「あなたが後宮に入れた娘____香鈴から、足がついたのです」
茶「……香鈴、だと?あれには何も言ってはおらぬ!」
ええ、と暗殺者は頷いた。
「あの娘は、あなたの野望にどこかで気づいたんです。恋い慕うあなたの役に立とうと、自らの判断で紅貴妃殺害を企てた」
「____彼女から、あなたが浮かび上がってきたのです」
茶太保の目が見開かれる。
男は続けた。
「香鈴は……確か、八年前の王位争いの時に、餓死寸前で門の前に倒れていたのを、あなたが拾ったのでしたね
皮肉ですね____と、彼は寂しそうに笑った。
「あなたの目論見は、あなたの良心によって崩れたというわけです」
茶太保は首を振った。
そっと懐に差し入れた指が、菊花刺繍の手巾に触れた。
茶「馬鹿な……珠翠はそんなことは一言も」
唐突にこぼれ出たその名前に、暗殺者は一瞬瞠目した。
それからそっと目を伏せて、全て悟ったかのように静かに告げた。
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咲くや - 面白くて続きが気になります 更新頑張ってください。 (2021年4月30日 0時) (レス) id: 2369d330ed (このIDを非表示/違反報告)
フローラ(プロフ) - ラフェルさん、ありがとうございます!!更新できなくてすみません。時間が無かったり、学生として忙しかったりするので、なかなか出来ていないのが現状です。申し訳ありません!出来るだけ頑張ります。 (2020年6月22日 14時) (レス) id: 81545e79a5 (このIDを非表示/違反報告)
フローラ(プロフ) - すみません、分かりにくかったでしょうか?オチは決まっているので、お話が進むのをもう少し待っていただけると嬉しいです (2019年6月1日 8時) (レス) id: 36855b5a89 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ - オチは決まってるんでしょうか?なんだか先が見えなくてモヤモヤします。 (2019年6月1日 7時) (レス) id: e7610b422d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:フローラ | 作成日時:2019年4月20日 16時