Another Story

シキ様リク 泣いて笑って近づく距離＿fkr ページ33

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「いい加減にしろよ！！」



叫んでから気がついた。



父親から性的虐待を受けていた彼女はもともと男性恐怖症だった、ということに。



「…っあ、ご、ごめんなさ…っ」



背を向けて走り出した彼女に思わず俺もため息をつく。



「福良さんが怒鳴るなんて珍し。」



伊沢がコーヒー片手にパソコンとにらめっこしながらそう言い放つ。



「まぁ、色々あったんだよ」

「へー…まぁ誰かの意見聞きたくなったら聞きに来てくれれば相手するよ」



そう言うなりヘッドホンをつけてパソコンを睨みつけた編集長。



動画じゃあの調子だけどやっぱり編集長なんだな、なんて思いながら肩を竦めた。



必要以上に踏み込んでこない関係性が意外と心地よくてQuizKnockに甘えがちな僕。



「福良さんA号泣しながら駅まで走ってましたけど大丈夫なんですか？」

「やっぱり泣いてたよなぁ…」



喧嘩の発端とか回想してもいいんだけど正直今はそれどころじゃない。



「流石に女性泣かすのは良くないんじゃないですかね」



“最近漸く男の人に慣れてきたのに”と続けた川上。



「…んー…そうだよね、電車乗っちゃってた？」

「あの調子じゃ乗れないと思いますよ。超泣いてましたから」



そう笑った川上にお礼をいい、コートを羽織って走り出す。



「A」

「…拳」

「はは、ほんとに泣いちゃってるじゃん」



目に涙をいっぱいにしながら僕の方を見てきたAの涙を親指の腹で優しく拭う。



「ごめんね」

「…ううん。大丈夫」



そう言って笑ったAに思わず俺も笑顔を浮かべた。

井上咲様リク 偶然が重なり起こる必然＿kwkm→←井上咲様リク 意外な関係＿kwkm

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