Accueil【伊沢拓司】 (ページ40)

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「……んっ…」

「あ、Aさん起きました？」

「え、颯くん？珍しい…」

私がそう言うと、彼はニコリと微笑んだ。

「ここ、どこかわかりますか？」

「QuizKnockのオフィス…だよね？」

わたしの言葉に彼は頷く。

“ちょっと待っててください”

そう断りをいれると、奥にある執務室まで走っていった。

…なんだろう？

確か、須貝さんと超伝導の数式解いてて、そこに拓司がやってきて、勝負した。

私の勝ちだったけど、あの負けず嫌いな拓司は勝敗が着いても自分が解けるまではってまだ紙を見ていた。

「…そこから…何した…？」

「…あ、A起きた？」

颯くんは三守くんと拓司を連れてきた。

「…大丈夫？」

「何が？」

きょとんと彼らを見渡すと、拓司がニコリと笑ってから私の頭をそっと撫でた。

「…いや、なんでもない」

彼の“なんでもない”は大抵何かある。

けれど私は、無理をして笑顔でいる彼に聞くことは出来なかった。

「水上、Aのこと任せていい？」

「…伊沢さん、」

“大丈夫だって。俺だってそんな無理しねぇよ”

颯くんの制止するような声に拓司はそう返した。

颯くんもそれ以上強く出ることは出来なかったのか、渋々というように私の隣に座った。

「…無理しちゃダメだよ？」

「それは俺の台詞」

…拓司はそう言いながら、いつも無理をするくせに。

ガチャンと音を立てて、撮影部屋の扉が閉まった。