Accueil【伊沢拓司】 (ページ39)

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伊沢side

「伊沢！水上と三守来たよ！！」

「2人とも忙しいのにありがと、ごめんね」

俺が無理してニコリと笑えば、彼らは当惑したような表情を浮かべた。

「…Aさんですよね？」

水上が、核心をつくようにそう言った。

「今は寝てるよ」

目線で彼女のことを示しながらそう言うと、二人はソファーで眠る彼女を目視で確認できる場所に椅子を置いて座った。

「で、何があったんですか？」

三守がそう言ったのを聞くと、水上が自身のカバンからA4のレポート用紙を取り出す。

何気ないその動作に、二人の意志と医者という職業に対する思いを感じた。

「…頭を抱えて、それで」

それ以上言うと、先程の惨劇が頭の中に再び起きてしまいそうで言葉にすることが出来なかった。

「うなされた、とかですか？」

見かねた水上が俺に助け舟をそっと出した。

それに頷くと、2人は顔を見合わせて小さくため息をつく。

「…両親を思い出させるようなこと、何かしましたか？」

「…っ、まさか」

三守が少しだけ、口角を上げた。

「…多分、親のことを思い出しそうになったんじゃないかな」

「…思い出したかどうかは、起きてみないとわからないです。」

水上が三守に続いてそう言う。

その言葉に、少しだけ不安を覚えた。

「大丈夫ですよ。今度は俺達もいるし」

そう言った三守の顔は、ライターのときのそれではなくかった。

そんな医師がいるなら心強い、そう思いながら俺も笑みを浮かべた。