きみのて(バンビズ) (ページ29)

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その後は部屋で2人で大泣きした。大の男が何やってんだと思われるだろうが関係ない。ただただ声をあげて泣いた。窓の外では雨が降っていて、空と俺と翔3人で泣いているみたいで。涙を止める方法が分からなかった。

とうとう涙も枯れてきて、翔は疲れて眠ってしまった。俺が待っているときも泣いていたんだ、そりゃ疲れただろう。ちょうど相葉も入ってきたのだが、彼の目は少し赤くなっていた。泣いていたのだろう。でも指摘しなかった。

「相葉、ありがとう。」
「俺？何もしてないよ？」
「助かった。いろいろと。」
「…そっか。なら良かった。」

翔をおぶって帰宅する。朝家を出てきたのに外はもう真っ暗で。何時間泣いていたのだろう。そう思うと笑えてきた。雨はまだ少し降っているのに、月は隠れていなくて。

「翔、月綺麗だよ。」

返事なんて聞こえるはずないけど。あとから夏目漱石のこと思い出してちょっとあたふたしたけど。彼の温もりを感じてまぁ良いかって思えた。

「俺も守られてたんだなぁ。」

月の灯りに。

彼の温もりに。