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「はい、以上のメンバーは居残り。」
出たよ、タイミング良く居残り。俺の決意が粉々に砕かれた瞬間。きっと今の俺には近寄るなというオーラが出ているのだろう。二宮と言いかけて去っていく輩が出てきた。_いや、そんなオーラを撒き散らしている場合じゃない。翔ちゃんにLIMEしないと。
『ごめん、居残りしないといけないからちょっと遅れるね。』
放課後。課題を終わらせ、ケータイを開いても返事が来たという通知はない。既読もついていない。本に集中しているんだろう。多分。
バスに乗り、『中央病院前』で降りる。やはりまだ既読はつかない。もともとケータイをあまり触らない人なのだろう。本の虫だもの、予想もつく。
3日通えばもう看護師さんは俺のことを覚えてくれていて、こんにちはと輝く笑顔を向けてくれる。思わずその笑顔は120円と心の中で思ったほどに。
「翔ちゃん、ごめんね、遅れて…？」
「ああ、二宮くん。」
ベッドがない。彼も居ない。居たのはAさんだけ。荷物も昨日来ていたときより少なくなっていた。もともと広めの部屋だったけど、余計に広く、寂しく感じる。
「翔ちゃんは？」
「ごめんね、連絡先知らなかったから…。移動したの、病室。」
「何かあったんですか？」
「…ちょっとね。」
元々は人の顔色を見て行動してきた俺だから分かる。悪いことがあったんだって。
「連絡先、教えてくれるかな？翔、基本ケータイ触らない子だから…。何かあったら私にも連絡しておいてほしいし。」
「大丈夫ですよ。」
でも聞かないでおこう。きっと言いたくないんだ。
「これ、今日の連絡です。昨日のあります？」
「うん、あるよ。はい、よろしくね。」
「分かりました。翔ちゃんにお大事にって。」
「言っておくね。ありがとう。」
今日は珍しく早めに帰れるなぁ。明日にはあそこに戻っているのだろうか。ぼーっと廊下を歩いていたら、バタバタと走る人にぶつかってしまった。
「あ、ごめんね！怪我ない？大丈夫？」
「い、いえ、こちらこそすいません。大丈夫です。」
「良かったぁ…あ、俺急いでるから、じゃあね！」
「……なんだあの人。」
白衣着てるから医者なんだろうな。頼りなさそう。なんて失礼なことを考えながら病院を後にした。
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作者名：永遠-towa- | 作者ホームページ：
作成日時：2015年12月28日 11時
