流れる季節の真ん中で(磁石) (ページ7)

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18時。冬至が過ぎたとはいえ、まだまだ暗くなる時間。そろそろ帰らないといけない。課題だってまだやっていないし。

「そろそろ帰るね。これ、渡しておくから。」
「うん、ありがとう。気をつけてね。」
「明日も来るから。」
「ありがとう、待ってるね。」

そんな分厚い本借りたんなら明日は病室にいるかな。勝手に考えて病室を出る。そういえば、彼はどこが悪いのだろう。顔色は悪いけど、話している感じはクラスメートと同じだったし。もっと仲良くなってから聞こう。

「ただいま。」
返事が返ってくることはないけれど一応言っておく。痛い人みたいだけど。部屋に戻り、制服をハンガーにかける。一人っ子だから、欲しいものは高くても誕生日とかで買ってもらえた。だから、部屋にはキーボードとギターがある。最近触れていないけれど。

机の上に課題を広げ、そいつと睨めっこする。そこそこの成績は取っているけれど、この単元だけは嫌い。クラスメートも頭を悩ませているらしかった。

「翔ちゃんこれできてんのかな…。」

昨日と同じ単元だから、彼のプリントを見ればできているかどうかは大体分かるだろう。少し気は引けるが、ごめんなさいと呟き、プリントを見てみる。

「すげー、できてるよ…。」

一番最後の応用問題まで全部。そりゃ新入生代表に選ばれるわけだ。入試も楽々解けたんだろう。すごいねと今すぐ賞賛の言葉を贈りたいのだが、俺としたことがメルアドやLIMEのアカウントを教えてもらうのを忘れた。明日聞こう。

課題をできるところだけやり、ご飯を食べ、風呂に入り、寝る。一人ですることにもう慣れてしまった。

「翔ちゃんもこんな感じなのかなぁ。」

とか、らしくもないことを考えて眠りに就いた。