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「あっという間だったねー」
「あっという間だー」
二泊三日の旅も終盤。班の空気は相変わらず悪い。荷物の整理を終え、部屋のベッドに2人で突っ伏していた。
「しんどくない？」
「全然平気」
「そう」
この三日間、彼は一度もそういう素振りを見せなかった。走りはしなかったけど、すごくはしゃいでいたし、夜更かしだってした。
相葉さんの言葉を疑ってしまう。こんな彼があと少しで眠ってしまうのか。何かの間違いではないかと。
正直、俺はこの三日間、眠れなかったしソワソワしていた。次の日、彼が目を覚まさなかったらどうしようとか、何かの拍子に倒れたりしないかとか。
でもそれは主治医の相葉さんも同じで、偶然を装って俺らのところに来ては彼の様子を見ていた。
「そろそろ時間だって」
「ん。今いく」
班長を先頭に部屋を出た。もうここへはよっぽどのことがない限り来ないだろう。
バスに乗り込み、空港へ。大野さんと松本さんへのお土産がぐしゃっと壊れないように慎重に持った。隣の彼もそれは同じみたいで、バッグの中を何回も確認していた。
「おお、久しぶりだ」
「三日前来たじゃない」
「えへへ、そっか」
そして大きな空港に着く。他のクラスの人たちと合流して、先生からの諸注意を聞く。荷物検査やらいろんなところを通ってやっと飛行機へ。ここだけで疲れる。
乗ろうとした瞬間に、後ろから誰かがぶつかってきた。と同時に手に握らされた紙。
後ろは__班長、高橋だ。
『この前はごめん。』
たった一言だったけれど、それでも胸がジーンとしてきて
「謝るなら翔ちゃんに謝りなよ」
「分かってる。あとで謝るから」
殴ろうと思ってたのに、その顔とこの手紙を見たら、怒りなんて消えていた。
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作者名：永遠-towa- | 作者ホームページ：
作成日時：2015年12月28日 11時
