流れる季節の真ん中で(磁石) (ページ26)

今日:9 hit、昨日:0 hit、合計:86,384 hit

25 ページ26

17時。日本とオーストラリアの時差は約2時間なので日本はまだ15時。

「翔ちゃん、耳どう？」
「ちょっと痛い」
「相葉先生呼ぶ？」
「ううん。大丈夫」

確かに着いてすぐに相葉先生の元へ行くのは彼にとっては悔しいとか、辛いものだと思う。しばらくは様子を見ることにした。

ホテルに着いて部屋へ。貴重品係になった翔ちゃんにみんなが財布を預ける。

「櫻井、盗むなよ」
「盗まないよ！」
「翔ちゃん、先生に渡しておいで」

袋を持って彼が部屋を出た途端にみんながため息吐いた。飛行機で疲れたのだろう。彼は大丈夫だろうか。

「なぁ二宮？」
「ん、なに？」
「疲れねぇの？」
「ん？疲れてるよ。9時間乗ってたんだよ？」
「いや、そっちじゃなくて」

ああ、なんか嫌な予感がする。班員がアイコンタクトをしはじめた。何だよ、何が言いたいんだ。

「…なんだよ」
「櫻井のことだよ」

ああ、やっぱりか。確かに疲労は多少感じてしまう。前より早起きしなきゃいけなくなったし、彼のことを気にしてなきゃいけないし。でも苦ではない。そんなの気にならないぐらいに、彼と過ごすことが楽しかったのだ。

「疲れねぇよ」
「でもさ、あいつのこと気にしてたら楽しめないぜ？」
「俺楽しむために来たんじゃねーよ」

「翔ちゃんと楽しむために来たの」

もう翔ちゃん、長くないから。