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「3月9日かぁ。聞いたことある気がする。」
「昔のドラマで使われてたんだけど、それ聞いてたんじゃない？」
「ふふ、そうかもね。で、これがどうしたの？」
「ピアノで弾けたりしない？」
「うーん、練習したら大丈夫かも…なんで？」
「これさ、男声難しいの。暇があったら練習したいし。」
「和って、努力家なんだね。いいよ。練習しておく。」
変な嘘だとは思うけど、上手く騙せたみたいだ。AさんにLIMEで提案すると、相葉先生に聞いておいてくれると言ってくれた。
どうしよう、これまでの人生の中で一番ワクワクしている。
まだできるって決まったわけじゃないけど。修学旅行まであと5日。明日の検査で行けるかどうかが決まるらしい。ああ、早退したいな。許してくれるとは思えないけど、適当な理由でも作って。
でもそんなことをしたら翔ちゃんに怒られそうなのでやめておく。最悪自分に責任を感じてしまうから。そんなことはさせられない。
「和、この楽譜に書き込んでもいい？」
「ん？いいよ。」
何も書いていなかった楽譜がみるみるうちにカラフルになる。速度記号や強弱記号に丸をつけて、机の上で指を動かす。凄い、もう想像できてるんだ。学校1ピアノが上手なんじゃないか？
「翔ちゃん、凄いね。」
「俺これしか特技ないから。」
「それだけでも凄いよ。カッコいい。」
「ありがとう。」
あ、耳赤くなってる。照れてるんだ。翔ちゃんでも照れるんだ。新しい一面を見れてなんだか嬉しくなる。
「和、明日も来るよね？」
「え？うん。」
「検査終わったら和が来るまでデイルームで練習しておくから、来てね。」
「分かった。」
その前に相葉先生のところ寄るけどね。それはまだ内緒。
「あ、本も返さないといけないからさ、明日付いてきてもらってもいい？」
「いいよ。」
あのイケメンさんに会いに行くのね。分かった。
2月になり少し暖かくなってきたこの日、君の笑顔がたくさん見れた気がしました。
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次回作アンケートです。短編集『雨がなければ虹はできない。』にサンプル置いてあります。投票お願いします。
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作者名：永遠-towa- | 作者ホームページ：
作成日時：2015年12月28日 11時
