あなたのオアシス～2～ (ページ23)

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通じ合う心ページ23

二人とも何も言葉を発せず、自然に私のアパートに入った。

大野さんはソファに座り、私はお茶を用意してテーブルに運んだ。

「もう大丈夫か？」

「はい…。」

「翔くん、Aのことが好きすぎて、ちょっとおかしくなってたんだと思う。本当はすごく優しいやつだから…」

大事なメンバーを庇う彼の優しさが伝わってくる。

「…はい。私が、曖昧な態度で不安にさせたのも追い詰めた原因なんだと思います。」

「だからって、無理矢理は良くない。間に合って良かった。」

「本当にありがとうございました。大野さんの顔を見たら安心して…」

「久しぶりに全力疾走したよ。途中まで、ニノの車送ってもらったんだけどさ。」

「二宮さんと一緒だったんですね。」

「ニノ知ってる？」

「実は先日お店にいらしたんです。」

「え！何か変なこと言ってなかった？！」

「変なことどころか、私の背中を押してくれたのは二宮さんなんです。」

「背中？」

「…はい。自分の気持ちに素直になれって。
だから、私…大野さんに聞いて欲しいことがあるんです。」

「ちょっ！ちょっと待って！」

「待てません。もう伝えるって決めたから…
返事はどうであれ、伝えさせてください。」

「違うっ！それは、俺から言わせてっ！」

「え？」

慌てる大野さんは私の前に正座して、
コホンと咳払いをした。

「俺はAが好きです。ずっと一緒に居たい。」

「大野さん…、私も好き。」

言いたくても言えなかった魔法のような言葉を
伝えて、伝えられて…涙が溢れる。

私の頬をつたう涙を長くてキレイな指がそっと拭う。

大野さんの優しい瞳と視線がぶつかり、自然と目を閉じると、唇が重なった。

大野さんの唇が離れると、優しく抱きしめられて、何度も「愛してる」と言ってくれた。

「あー俺、今が人生で一番幸せ。
あ、違う。二番目かも。」

「え？二番目？」
私が不満そうな顔をすると笑いながら言った。

「Aが作ったカキフライ食ってるときが一番幸せだからな。」

そこ言葉に「なにそれー！」って言いながらも、嬉しくてニヤけてしまっている自分がいた。