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ジャージから急いで制服に着替えると、訳も分からぬまま車に乗せられた。
上限5人の車には、運転役の補助監督さん、助手席に硝子ちゃん、後部座席に夏油君と私と五条君が狭しと乗っていた。
「何で一年全員なんだよ、狭い。」
「仕方ないさ。」
「あの、何故私まで...?」
「2日前に冥さんと歌姫先輩が任務に行ったきり、音沙汰がない。歌姫先輩なら兎も角、冥さんがいるのに連絡がないなんて相当の事があったのかもしれない。
硝子もいるけど、念の為Aもいた方が心強い。」
そんなこんなで、私達は静岡県浜松市にある曰く付きの屋敷へ向かっていた。
鬱蒼とした木々に囲まれる豪邸と言える屋敷は、いかにも怪しげな雰囲気を漂わせていた。
硝子ちゃんと夏油君が先に行く中、私は補助監督さんに礼を述べた。
「それでは、帳を降ろします。」
「いやいいよ、俺が降ろすから。」
「ですが...」と言い淀む補助監督さんを意に介さず、五条君はその長い脚でずんずんと進んで行った。
補助監督さんに慌ててお辞儀をした後、急いで彼の後を追った。
「“いる“と言うか、この屋敷全体から呪力を感じるね。」
「屋敷内の一角に二人がいるとして、どうやって閉鎖された屋敷に入りましょう...。」
「チマチマすんの面倒だから、屋根ブッ壊していいっしょ。」
「あ、五条く...」
引き留める間もなく、彼は呪術で屋敷の上部をごっそりと抉り取ってしまった。
屋根どころか、結果的に屋敷を全壊させていた。
「助けにきたよ〜。歌姫、泣いてる?」
「泣いてねぇよ!!敬語!!」
拓けた瓦礫跡には、歌姫先輩が体制を崩して座り込んでいた。
いつの間にか、私の隣には冥さんこと冥冥さんがいた。
「泣いたら慰めてくれるかな?是非お願いしたいね。」
「冥さんは泣かないでしょ、強いもん。」
「フフフ...そう?」
和気藹々としつつも、五条君に反論しようと立ち上がった歌姫先輩の後ろには、巨大な呪霊が迫っていた。
その呪霊を一回り大きくしたような呪霊が、歌姫先輩の背後にいた呪霊を丸ごと食べた。
呪霊に言い聞かせるように、夏油君が声をかけた。
「飲み込むなよ、後で取り込む。
悟、弱い者イジメはよくないよ。」
「強い奴イジメるバカが何処にいんだよ。」
「君の方がナチュラルに煽っているよ、夏油君。」
「あ゛。」
酷く険しい表情の歌姫先輩を和らげるように、硝子ちゃんと共に顔を出した。
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カナデ(プロフ) - 好きです!!更新頑張ってください! (2022年10月26日 20時) (レス) @page21 id: d6342d80f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:馬×3 | 作成日時:2021年12月30日 16時