活路�� ページ20
「…其れは亦、随分と厄介な着想だね。」
「然し有効な一手であるのも確かですね。」
「…いいだろう。私が場を設けよう。
但し、其れを善しとするかは社長が決める事だ。
君が社長に話すんだ、善いね？」
「はい…！」
「先ずは探偵社に戻らなければいけませんが、敦さんの回復を待ちましょうか？」
「そうすると善い。
暫くの間は向こうも手出し出来ない。
Aちゃん、敦君の事見てて上げて。
私は先に準備をしてくるよ。」
そう云って太宰さんは、地下鉄の奥へ消えて行った。
手持ちのハンカチで敦さんの顔を拭い、弾丸が残って居ないか触診した。
「み、水野さん、ハンカチが…」
「視界が悪いといけないでしょう。
私に出来るのは此の程度ですから、お気になさらないで下さい。」
「…有難う御座います。」
「礼には及びません。寧ろ私が感謝する側です。」
「えっ…」
「今回の横浜の窮地を救ったのは、他でもない…敦さん、貴方なんですから。」
「僕は、そんな…。」
「貴方は己の正義に従って、太宰さんの元まで人形を届けました。
例え自分の力だけでなくとも、貴方の意思が此の結果を齎したんです。
敦さんは凄いですよ。」
(如何して此の人は、こんなにも僕の欲しい言葉を掛けてくれるのだろう。)
鴉のように靱やかで存在感のある彼女は、屹度僕よりずっと大変な思いをして来た筈だ。
其れをおくびにも見せない彼女は、まるでナイチンゲールのように心を癒してくれる。
少女のようにも貴婦人のようにも見える其の姿が、僕には唯々眩しく聖母のようにに見えた。
其れから暫く経ち、敦さんの脚は真面に歩ける程度には回復した。
ハンカチは洗って返すと云われたが、私は彼に上げる心算だったので其れを断った。
探偵社に戻り彼の容態を与謝野女医に診て頂いていたのだが、社内フロアの片隅には国木田さんが蹲っていた。
録画機器は一足先に戻って来た太宰さんが回収して行ったらしく、国木田さんは醜態を晒した事に消沈しているようだった。
彼の机に緑茶を置き、敦さんの様子を見に行った。
「怪我の具合は大丈夫ですか？」
「結構重症だったらしく、与謝野先生に解体されずに治して頂けました…。」
「本当だよ全く。
折角解体出来るかと思ったのに、よくもまあそんな状態で歩けたもんだね。
何にしても、お手柄だよ敦。」
「っはい…！」
「ほら、さっさと社長のとこ行きな。」
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馬×3(プロフ) - kajtuuwnさん» 更新障害の所為か外したのにオリ/フラが表示されていたみたいですね。確認したところ外れていたので、現在は問題ないかと思われます。ご指摘頂き有難う御座います。 (2022年7月18日 8時) (
レス) id: 85cef96c0c (このIDを非表示/違反報告)
kajtuuwn(プロフ) - オリ/フラ立ってます。外して下さい (2022年7月18日 7時) (レス) id: 08bd233888 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：馬×3 | 作成日時：2022年7月18日 0時
