5話 ページ6
そんな日々が続き、僕は9才になった。
9才になってまもない、ある日の事だった。
ぼくは、さすがに村には居づらく、近くの森の中でぼーっとしていた。そんなぼくの耳に、こんな話が届いた。どうやら隣の村の狩人らしい男2人組が、森である噂話をしていたのだ。
「なあ、お前忍術学園って聞いたことあるかい。」
「忍術学園?聞いたことがないなあ、忍術ってんだから、忍者の学校かい?」
「どうやらそうらしいんだ。近くの村の奴が言ってたんで、本当かはわからんが、にんたま、くのたま、と呼ばれる忍者のたまご、くノ一のたまごを育てる学校らしいんだがな?10才以上で、金さえ持ってりゃあ誰でも入れるらしいんだよ。」
「へえー。だけんど、そりゃあ怪しくないかい?それらしい噂を流して、人買いに子供を売るって言う手口かもしれねえよ?」
「ばっか、あくまで噂だよ、噂。本当かなんてわかりゃしねえよ。」
そんな話を聞いてぼくは、忍術学園を目指そうと思った。
元々、ある程度育ったら出ていくと言ってしまっているし、なるべく早く出ていってくれ、とお父さんもお母さんも思っているだろう。人身売買だったってどうでもいい。どうせ心配なんかしてやくれないのだから。
よし、と忍術学園を目指すことを決めたぼくは、とりあえずお金がどのくらいかかるのかを聞いてみることにした。
『あの、』
そう声をかけようとした瞬間、あの時のように、頭に記憶が流れてきた。忍術学園に関しての記憶だった。
記憶の流れが止まり、混乱した頭が冴え始めた。
学園について知れたのは、くのたまよりも、忍たまの方が多いこと。入学に必要なお金。
学園がある場所もだいたい分かった。流石に、学園の先生や生徒の名前を覚えてはいられなかったが、前前世とやらの自分がとても好きだったらしい人の顔はわかった。とても、優しそうな人だ。
『まあとりあえず、10才間近になったら忍術学園を目指して出て行くことは伝えないと。…よろこばれるんだろうなぁ…』
そんなことを考えつつも、両親にその旨を伝えようと家に帰った。
随分と長くなったが、これが小説一話の冒頭のセリフへと続くのである。
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作者名:くまろばら | 作成日時:2021年9月13日 2時