Aimer Ⅱ (ページ2)

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1人の女の子ページ2

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『今すぐ叩き割れ！』

『むぅ……、分かったよ！送ってええよ！』

『ああ、恥ずかし……』

誰と話しているのか分からないが、誰かと電話するAはとても楽しそうだった。

『今から友達とご飯だからそろそろ切るね？
うん、また明日電話して？うん！ばいばーい！』

「Aちゃん終わった？」

『うん！澪ちゃんざわくんごめんね？』

気を許している相手なのだろう。

亮くんに恋愛禁止令を出された時、Aは今までとは違う反応をした。以前ははいはい、と受け流していたのに、今日は何があったか寂しげで。もしかしたら……、と思った。

撮影が終わってから塾終わりの彼女の澪を迎えに行き、僕の家で3人でご飯でも食べようと誘った。

「さすがAちゃんだねえ……
私もAちゃんみたいに美味しいご飯作れるようになりたい」

『澪ちゃんも卵焼き作ったやん！』

「でもほとんどAちゃんが作ったじゃん！
たいちゃんを満足させたいから弟子入りさせてください」

澪を呼んだのは女の子がいた方が話しやすいだろうと思ったから。

テーブルの真ん中には大皿に盛られた肉じゃがが陣取り、大根と油揚げの味噌汁やほうれん草の白和え、金平ごぼうが並び、肉じゃがの隣には6等分に切られた卵焼きまで置いてある。

「ねえ食べようよ！」

それよりもたいちゃんを満足させたい、って思ってくれる澪が可愛い。無邪気な所もいい。

『いただきまーす』

Aの号令で手を合わせ、各々食べたいものを口に付ける。……卵焼き、甘めで美味い。

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『ねえ、ざわくんとみおりん』

その話題はAから振られた。

『何で亮くんって私の恋愛に干渉したがるんだろう？』

鈍い。思わず恋愛下手かと突っ込みたくなった。

とはいえAは恋愛禁止令を言い渡される以前に、長らく彼氏がいない。でも告白は何度もされている。もっと魅力的な人がいるから、と断っているだけで。

「うーん……
亮くんはAちゃんが心配なんじゃない？変な男に捕まったらどうしようって」

『そうなのかなあ……』

また寂しい顔をした。

『でもさ、恋愛しないでって言うのはやりすぎやない？
私一生懸命は亮くんは好きやけど、私の男性関係にうるさい亮くんは嫌い』

僕と澪は顔を見合わせる。亮くんがいなくて良かった、と心底思った。