Aimer Ⅱ (ページ3)

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でもAにも思う所があったのか。その点は安心だ。

「もしかしてAちゃん、気になる人がおるの？」

『うーん……、でも最近毎日電話かけてくる人ならおるかな。その人と話してて楽しいし落ち着くけど、それが気になるにあたるのかは分からへん……』

シュンと縮こまるAが無性に可愛いと思った。もちろん1番は澪だ。

でも今のAに感じるのは東海オンエアで鎬を削るAではなく、南條Aという1人の女性だった。

「Aはその人が他の女と絡んでたら……、って思ったらいや？」

『……嫌、かも』

これは、あれだ。

「A、それは恋じゃないの？」

『……はあ！？』

激しく動揺したAは勢い余って箸を落とす。

『わ、私が、あ、あ……』

「どんだけ噛むんだ」

『だ、だって……、そいつ、赤ちゃんの時から中3まで一緒に育ってきた人やで……？』

「え、幼馴染！？」

今度は僕と澪が驚く番だった。

『マジかあ……、私、ハルキが……』

「ハルキさんっていうの？」

その瞬間Aはチョンボした、と言わんばかりにアワアワし始めた。

『ははっ……』

ハルキ、はるき、……西川遥輝。いや、まさか。そんな訳は……

でも”まさか”がありえるのがAだ。高校進学と同時に愛知に引っ越してきた関西生まれ、としか公表していない。いわゆるミステリアスキャラだ。でも僕は高校時代に和歌山出身だと本人から聞いた。

西川選手も高校時代智弁和歌山で活躍し、今はプロの世界で輝いている。素早くWikipediaで西川選手を調べてみれば、やはり和歌山出身だと書いてある。

日本シリーズでAがカープじゃなくてファイターズを応援した理由、西川選手がサヨナラ満塁ホームランを打った時に涙を流した意味、西川選手が異常にAに食い付いた訳……
出身地を僕以外のメンバーに話さないのも、もしかして……

「ねえAってさ、ハルキさんって人とこの前北海道で会ってたよね？」

『へっ！？』

図星か。目を泳がせちゃってバレバレやん。

「……大丈夫、誰にも言わんげえ安心して」

『お願いします……』

「でもビックリしちゃったよ、まさかAが西川選手と幼馴染だったなんてさあ」

「えっ、Aちゃんの好きな人ってスポーツ選手なの？」

「うん。西川遥輝で調べときん？」