Aimer Ⅱ (ページ38)

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似たもの同士ページ38

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激甘。幼馴染から彼氏へと昇華された遥輝がそんな人だとは思わなかった。
こんなにも直接的に、まっすぐに好きだと言ってくれる人は初めてかもしれない。

「Aってめっちゃ照れ屋やんな？」

そう言って目線を合わせる所も、……今にもキスできそうな距離に顔を近付ける所も。鼻と鼻が触れてくすぐったい。

『……っ！』

優しく見つめられると金縛りにあったように身動きが取れなくなる。

「チューできそう」

『これ以上は、爆発する……』

「ふはっ、爆発て！」

『笑わんで……』

すぐに人をからかって面白がるけど遥輝だって顔が赤い。ド直球のくせに照れ性なこと、長年の付き合いだったから知っている。

『遥輝も照れてるやん……』

同じ気持ちでいてくれることは嬉しい。
でも私だけ恥ずかしい気持ちにさせられるのは納得いかない……

一瞬だけ唇を押し当てる。唇にはできないからほっぺに軽く。

「え？」

遥輝は目を丸くした。

これ以上甘い空気に耐えきれない私は荷物とカレーの材料が入ったエコバッグを持ってリビングへ逃げる。キッチンの物入れにエコバッグを立てかけ、ソファにはぬいぐるみが入った紙袋とショルダーバッグを置く。

1人赤面しながら思う。遥輝と一緒にいる自分は自分じゃないみたいだ。見知らぬ何かが取り憑いて離れなくなった。

「お前なあ……」

頭をポリポリ掻きながら、遥輝が入ってくる。

『何……』

「やり逃げはあかんやろ」

『あかんことない』

「あかんわ！」

責任取れ、とジワジワとキッチンに追い詰められる。身長180cmほどの遥輝に追い詰められると逃げ場などどこにもなくて、気づくと背中と壁がくっついていた。

『な、何……？』

「愛してる」

そう言って私の身長に合わせて屈み、ギューッと抱き着いて肩に顔を埋める。あごひげがニットを貫いているのか、左肩だけが少しチクチクしていた。

「俺な、Aとおる時が1番自分らしくおれるはずやったんやで？」

『うん』

「でもな、今、変やねん。自分が自分じゃないみたいやねん……」

また同じこと考えてる。私達はどこまでも似た者同士だ。

『私も。でもそれも引っ括めて全部私だし、遥輝なんじゃない？』

今まで気づけなかった。それ故に戸惑う。でもすんなりと受け入れられたのは、遥輝を好きになれたからだよ。