救出手段 ページ43
〜・〜・〜・〜
「リル、ドン！」
深い暗闇の中に消えていった彼らの名を呼ぶも、返事は無く、長い長い廊下には私の声のエコーだけがあった。
「フーリッシュ、いったいどうしたんだ」
「一時的な処理落ちです。ところで、警部とリルが見当たりませんが」
「君が処理落ちしてる間に───」
暗闇の奥へ目をそらして示すと、フーリッシュの瞳の輪郭がギュンと縮まり、LEDリングが黄色く光っていた。
「警部にマイクロチップが」
「なに？」
「頸動脈あたりに埋め込まれている。アンドロイドの必須パーツだ」
「なぜアンドロイドのパーツが？」
「何者かに埋め込まれた」
「人体に影響は？」
「必要な場合、アンドロイド全般と連絡が取れるようになる。警部は下水道に」
「ドンは？」
「・・・通信不可能だ。
きっと落ちたはずみにチップに負傷が」
「フーリッシュ、二択だ。このまま進むか、リルとドンを救出するか」
「・・・」
黙り込むフーリッシュ。適切な選択を選んでいるのか。任務を選ぶか、人間の命を優先するか────
さあ、どうする？
「2人を救出する。
ルート的には下水道にも道はあるはずだ」
「そうか、なら行こう。
ここから飛び降りるんだ」
「僕が先に」
「分かった」
フーリッシュが先に飛び降り、私もそれに続く。ダメージを出来るだけ受けないように着地して、いつでも武器を構えられる態勢に入る。
「警部」
彼が声を張り上げるが、帰ってくるのはコピーされたようなエコーばかり。
「リルの居場所は？
GPSから分かるんじゃないのか」
「追跡しているが見つからない。チップ自体は故障していないはずだが───」
「・・・ひとつ聞いていいかい。第三者によってGPSの機能を無効にすることは？」
フーリッシュは我に返ったように前を向き、水たまりだらけの湿った通路を走り出した。私は彼を援護するように銃を構える。
「警部、ドン！」
いくら声を上げても、帰ってくるのはいつも同じ答えだった。彼の表情に焦りが見えてくる。
また走ろうと足を一歩前に進めたその時─────
フーリッシュが足を滑らせ、ドブの川に落ちてしまったのだ。
「フーリッシュ！」
ブクブク・・・
一部だけ泡立つドブ川。微かに見える影はどんどん私に背を向けて沈んでいった。
・・・いいや、沈んでいるのではない。フーリッシュが自ら泳いで下へ？
「・・・ぷはっ！」
「フーリッシュ、早く上がるんだ！
君まで故障してしまう」
「道が！」
「なに？」
「排水溝に道がある！」
・・・私もドブ川を泳げと？
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クロユリ☆★(プロフ) - ここりどらすさん» わあ、嬉しいです！ありがとうございます(^^*) (2019年8月23日 1時) (
レス) id: 0bca962c48 (このIDを非表示/違反報告)
ここりどらす(プロフ) - 好きです。8点入れさせていただきました。 (2019年8月22日 23時) (レス) id: af90c931db (このIDを非表示/違反報告)
クロユリ☆★(プロフ) - ぐうたら猫さん» ご報告ありがとうございます！これからも頑張ります！ (2019年2月8日 18時) (レス) id: 0bca962c48 (このIDを非表示/違反報告)
ぐうたら猫(プロフ) - こんばんは。誤字があったので、ご報告します。『彼の感情』の後半、機械が機会になってました。修正と更新、頑張って下さい！ (2019年2月8日 17時) (携帯から) (レス) id: e6816c78e0 (このIDを非表示/違反報告)
クロユリ☆★(プロフ) - 夜桜さん» わかりました！拝見させていただきますね！ (2018年8月14日 19時) (レス) id: 0bca962c48 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：クロユリ☆★ | 作成日時：2018年7月25日 13時
