まずはシャンパンを ページ32
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私たちを乗せたジェット機は、大きなヘリポートに着陸した。
パーティー会場のようだ。昔は舞踏会にでも使われていたのだろうか、と思うほどに美しい建築美だ。
「君たちはすでにパーティーの参加者リストに追加されてる。胸を張って会場へ入れ。だが常に人混みを警戒しろ。
ここのどこかに"奴ら"がいるはずだ」
「その奴らの一味をクドいて、情報を聞き出すってことか」
「さすがは警部、飲み込みが早いな。
それとフーリッシュ、指示を出すために君の機能に接続したい。パソコンからIDを送る」
「了解」
ハワードは"PR700"と打ち込み、彼の機能に接続した。
LEDが黄色く点滅し始めると、フーリッシュの瞬きの回数が異様に多くなり、パチパチと慌ただしくまつ毛がはためいている。
「よし、これで良い。フーリッシュ、これから君の頭の中から私の声が聞こえてくる。
命令した通りに動くんだ」
「イエス、マッド」
「ああそうだ。もし私のことを誰かに聞かれても、ハワードと呼ぶな。マッドと呼べ」
「了解。それじゃあさっそく潜入開始?」
「ああ、奴ら以外の人間は出来るだけ傷つけないように。
非常事態となれば話は別だが」
ジェット機から降り、いよいよ会場に潜り込む。ハワードは私たちとは別の方へ。
《君たちは情報収集を頼む。
一味はそこら辺に転がってるはずだ、ほとんどが美女か美男。
これからお目にかかるボスはよっぽど美にこだわるタイプなんだろうな》
イヤホンから聞こえた皮肉たっぷりのセリフ。私はマッドとの20年ぶりの潜入捜査に、若干緊張していた。
「彼らの共通の特徴は?」
《共通なんてあるものか。半分が人間で半分がアンドロイド。
でも身につけているものの共通ならある》
「最初からその事を」
《男女問わずペンギンスーツさ。おトモダチになる前に彼らに銃口を向けるんじゃないぞ。
スーツでカウンターされる》
「彼らも防弾スーツを?」
フーリッシュが口を開く。
《ああ、前は彼らの防弾スーツに気づかなくてね。部下が5人やられた》
「わかった。私たちが7人目にならないようにこの会場のどこかで祈ってて」
《ああ、健闘を祈る》
ガッ、というノイズが走り、ハワードの声は聞こえなくなった。よし、ここからは私たち2人だけでの捜査だ。
私はフーリッシュを振り返る。
「君、私のことはメイソンと」
「ジュンドと」
「それじゃあジュンド。
景気づけに、まずはシャンパンといこう」
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クロユリ☆★(プロフ) - ここりどらすさん» わあ、嬉しいです!ありがとうございます(^^*) (2019年8月23日 1時) (レス) id: 0bca962c48 (このIDを非表示/違反報告)
ここりどらす(プロフ) - 好きです。8点入れさせていただきました。 (2019年8月22日 23時) (レス) id: af90c931db (このIDを非表示/違反報告)
クロユリ☆★(プロフ) - ぐうたら猫さん» ご報告ありがとうございます!これからも頑張ります! (2019年2月8日 18時) (レス) id: 0bca962c48 (このIDを非表示/違反報告)
ぐうたら猫(プロフ) - こんばんは。誤字があったので、ご報告します。『彼の感情』の後半、機械が機会になってました。修正と更新、頑張って下さい! (2019年2月8日 17時) (携帯から) (レス) id: e6816c78e0 (このIDを非表示/違反報告)
クロユリ☆★(プロフ) - 夜桜さん» わかりました!拝見させていただきますね! (2018年8月14日 19時) (レス) id: 0bca962c48 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クロユリ☆★ | 作成日時:2018年7月25日 13時