警部とエージェント ページ27
〜・〜・〜・〜
私の名を懐かしそうに呼ぶ彼。彼が耳につけていた補聴器のようなものを外した瞬間、聞きなれた声に戻る。
「声を変えていたの?」
「ああ、たまに思いもよらないお客様が来るからね。声だけでも特定されてしまうから変えていたんだよ。
おかげで武器は汚れ放題だ」
「エージェントも大変だな」
「まあね」
2人で盛り上がっていると、話の山をフーリッシュの咳払いが静かに崩した。
「失礼だが警部、彼は?」
「ああ、彼は裏社会では有名なエージェントさ。今までに多数の組織を壊滅してきてね。
私もミサイル発射阻止を手伝ったもんだ」
「エージェント、なぜ警察の君がエージェントと知り合いなんだ?」
「最初は知らなかったんだよ。初めに出会ったのは警察署だったから」
「警察署?」
「ああ、いい部下だったんだがな。
まさか忠実な警官になりすましたエージェントだったとは」
「私がミサイル阻止に手間取っていると話したことがあってね。彼はお人好しだから尻尾を振って引き受けてくれたよ」
フーリッシュのまぶたが一瞬ピクリと動き、考えこむような素振りを見せた。
「確かに彼は人が良い。でもだからと言って危険な任務に同行させるのは感心しない」
「分かってる。けど彼は優秀だ。すぐくたばるような男じゃない」
「それならいいが───」
彼に視線を押し付けられる。こめかみに目をやると、彼のLEDの青い光がパチパチと点滅しているのが見えた。
「なんだ、なにか私に不満でもあるのか?」
「人が良い人間はみんな無茶をするものなのだろうか、と考えていた。
質問に対する回答は、そう、不満がある」
「どんな不満?」
「車椅子にも関わらず、危険な事件に関わる。その結果犯人の人質に。
おまけに、たまに行く病院では、たった一本の棒に捕まって無理に歩こうとする始末だ」
彼の不満に私とハワードはクスッと笑みを漏らす。賢いが、情報収集しない限り知識はあまり無いんだな。
「フーリッシュ、心配させていたようで悪いが、あれは"リハビリ"というものだよ。
私はいつもあそこで歩くための特訓をしているんだ」
「リルは決して無理に歩こうとしているわけじゃないよ」
彼は目を開けたまま、しばらく死んだように動かなくなったが、10秒後、再び口を開いた。
「メモリーを保存しておいた」
「ははっ、ぜひ覚えておいてくれ」
「本題に入るが、ハワード。あなたはなぜあの女性に警告をしたんだ?」
「・・・それはね───」
5人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
クロユリ☆★(プロフ) - ここりどらすさん» わあ、嬉しいです!ありがとうございます(^^*) (2019年8月23日 1時) (レス) id: 0bca962c48 (このIDを非表示/違反報告)
ここりどらす(プロフ) - 好きです。8点入れさせていただきました。 (2019年8月22日 23時) (レス) id: af90c931db (このIDを非表示/違反報告)
クロユリ☆★(プロフ) - ぐうたら猫さん» ご報告ありがとうございます!これからも頑張ります! (2019年2月8日 18時) (レス) id: 0bca962c48 (このIDを非表示/違反報告)
ぐうたら猫(プロフ) - こんばんは。誤字があったので、ご報告します。『彼の感情』の後半、機械が機会になってました。修正と更新、頑張って下さい! (2019年2月8日 17時) (携帯から) (レス) id: e6816c78e0 (このIDを非表示/違反報告)
クロユリ☆★(プロフ) - 夜桜さん» わかりました!拝見させていただきますね! (2018年8月14日 19時) (レス) id: 0bca962c48 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:クロユリ☆★ | 作成日時:2018年7月25日 13時