4人の激闘 ページ19
〜・〜・〜・〜
最悪のことながら、私の体は全身麻痺のせいで普通の人間のそれより重い。
フーリッシュはギリッと歯を鳴らし、懸命に安全な場所へよじ登ろうとしていた。
そこへ、ニタリと口端をあげたフランツがやってくる。私は何かに違和感を覚えた。
「おやおや、100万ドルの夜景より眺めじゃないか、ずっと見ていられる」
私はとっさに違和感を口に出した。
「ドンは！？」
「すこし眠ってもらっている。大丈夫、死にはしない程度の負傷だ」
「・・・」
フーリッシュは彼に対して鋭い睨みをきかせた。私の手を握る力が痛いくらいに強くなる。
だがこの状況で"痛い"などと言えるはずがない。
フランツはその底の高い革靴で、崖っぷちの端を掴むフーリッシュの手を踏みつけた。
「っ・・・」
手の骨が折れそうだ・・・だがこのくらいの力で掴んでくれた方がむしろ安心する。私はフランツを説得しようと口を開いた。
「苦しいのは分かる！だが聞いてくれ！
もし君がいま私たちを突き落とせば、今日が未来の君にとって後悔の日になる！」
「命乞いなんて聞きたくない！」
フランツが放った弾はフーリッシュの手に当たり、彼のLEDが赤く点滅する。私は彼の目を見て訴えかけた。
「ああ、たしかにこれは命乞いさ！
だが君にとって一番いい選択肢は、このまま手をあげずに私たちを見逃すことだ！」
「・・・残念。
お人好しすぎる君とも今日でお別れだ」
彼が引き金を引き、私に一発撃ち込んだ。肩の骨を砕かれ、口から勝手に悲痛なあえぎが漏れる。
「警部！」
フーリッシュの叫びとほぼ同時に、フランツの肩が向いてはいけない方向に向き、彼もまた悲痛な叫びをあげた。
彼の背後に、心臓部を怪我したドンがいた。彼はフランツを締め上げ、銃を奪い取り、彼の腹部に銃弾をおみまいした。
「フーリィ、いったん落ちろ！
こいつの相手は俺がする！！」
下を見ると、数メートル先にゴミ袋が固まった部分があった。フーリッシュは確認を取るように私を見つめる。
私は口をキツくつむぎ、うなずいた。
彼の手が崖から離れる。
体が宙に浮く。上を見上げれば、フランツとドンの間に激しく銃弾が飛び交っていた。
私は痛みを覚悟して目をぎゅっと閉じ、行き場のない手は風を切ってゆく。
落ちてから数秒、鈍い衝撃が体を貫いた。
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クロユリ☆★(プロフ) - ここりどらすさん» わあ、嬉しいです！ありがとうございます(^^*) (2019年8月23日 1時) (
レス) id: 0bca962c48 (このIDを非表示/違反報告)
ここりどらす(プロフ) - 好きです。8点入れさせていただきました。 (2019年8月22日 23時) (レス) id: af90c931db (このIDを非表示/違反報告)
クロユリ☆★(プロフ) - ぐうたら猫さん» ご報告ありがとうございます！これからも頑張ります！ (2019年2月8日 18時) (レス) id: 0bca962c48 (このIDを非表示/違反報告)
ぐうたら猫(プロフ) - こんばんは。誤字があったので、ご報告します。『彼の感情』の後半、機械が機会になってました。修正と更新、頑張って下さい！ (2019年2月8日 17時) (携帯から) (レス) id: e6816c78e0 (このIDを非表示/違反報告)
クロユリ☆★(プロフ) - 夜桜さん» わかりました！拝見させていただきますね！ (2018年8月14日 19時) (レス) id: 0bca962c48 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：クロユリ☆★ | 作成日時：2018年7月25日 13時
