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少し気温が下がってきた頃、北斗にカーディガンを着せてあげた。
前よりそれが大きく見えるのは、きっと君の身体が、小さくなったから。
北斗の隣に屈んで、静かに火をつける。
「線香花火って、人の一生を表してるんだって」
先端の火球を見つめながら、北斗は静かに呟いた。
「生まれて、燃えて、消えていくの。」
「うん」
…それはなんだか、砂時計に似ていると思った。
火球は、音もなくアスファルトの地面に吸い込まれてゆく。
「俺は…、消えちゃうのが、普通より早いんだね」
「……」
「物事には、順番があるっていうのに」
俺が火をつけた線香花火は、まだ生きようと必死で
もがいているみたいで、
それから静かに、燃え尽きていった。
「…でも、消えていくのを、大我に見守ってもらえるのは、うれしいな」
「北斗…」
「大我に先立たれる方が俺、耐えられない」
残ったもう2本に火を灯して、“一生”を、二人で見つめた。
チリチリと忙しなく燃える二輪の花は、時折一体となって、揺れた。
「来世は、長生きないのちを貰って生まれるよ。
それでまた、たいがを探して、」
「今度は、…結婚しよう、北斗。」
涙と一緒に、二つの火球が連続して消え落ちた。
こんな風に一緒に逝けたら、生まれてくる瞬間も一緒かもしれないのに。
…来世はきっと、君の方が随分とおじいちゃんだと思う。
それでも構わなかった。
細くなった君の薬指に、そっとキスを落とす。
「やくそく」
「…うんっ、約束。」
気がつけば空は真っ暗で、無数の星々が煌めいていた。
美しい夜空に、二人で顔を見合わせて笑う。
君の星座、北斗七星をなぞって
星屑を数えて
夜空を仰いだら、君が一つ欠伸をする。
そんな幸せな夜だった。
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晴(プロフ) - 名前しずくさん» あとがきまで読んでくださったんですね(^^) 2人はこれからもお互いを想いやっているはずです…！ 長らくのご愛読、ありがとうございました！ (2021年10月5日 19時) (
レス) id: 924db004c7 (このIDを非表示/違反報告)
名前しずく(プロフ) - 金平糖を贈る意味がとっても素敵で、お話にも合っているなあと感じました。今までお疲れ様でした。 (2021年10月4日 9時) (レス) @page44 id: 0ac6e112f4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：晴 | 作成日時：2020年10月21日 20時
