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｢……じゃあ、今日はありがとうね｣
｢ん、……風邪ひくなよ｣
玄関前で、久しぶりにAと向き合う。
うん、よかった。彼女の制服は、この雨にしちゃ濡れてない方だ、多分。
｢うん……ありがと。優しいね、シャークん｣
軒下で向き合ったAが、微笑む。
……優しい、か。
普通なら褒め言葉であろうそれは、今の俺には綺麗すぎて、どうにも引っ掛かる。
言葉にするつもりは無かったのに、それは、案外簡単に口から滑り落ちた。
｢……違う｣
｢……え?｣
そう。俺は、Aが思ってる程良い奴じゃない。
｢……俺、別に優しくねぇよ｣
｢そんなこと、｣
無数に降り注ぐ雨の様に、落ちて、流れて、弾けるのを、その時の俺は、止めようとすらしなかった。
｢……Aだから、｣
｢……へっ、｣
｢Aだから、優しくしてんの｣
ああ、クッソ、心臓がうるさい。
……そうだ。彼女には悪いけど、俺はそういう男だ。
気になるから、かわいいから、すきだから。
いつも隣にいて笑って欲しいし、泣く時は俺が隣にいてやりたい。
守ってやりたい、手も繋ぎたい、ハグもしたい。
あわよくば、もっと、その先まで。
や、勿論、俺の独りよがりじゃなくて、Aもそうありたいと思ってくれないと、意味無いけど。
……まぁ、つまるところ、俺がAに優しいのは、そんな下心でしかない。
｢……Aは、｣
｢……ぁ、｣
｢どう思ってんの、俺の事｣
もう、半分ヤケクソだった。
言っちまったもんは仕方がない。
それに。
｢……、｣
俺は、絶対に勝てる戦いも好きじゃないけど、絶対に負ける戦いなんて、願い下げなんだよ。
｢……そんなの、｣
｢えっ、｣
息を呑んでは止めて、何も言葉にせずに吐き出す、を3回繰り返した後、突然、彼女が大きく地面を蹴った。
｢ちょ、バカ、濡れるって、｣
｢……そんなの、私も一緒だよ｣
慌てて傘の中に迎え入れて、すぐ。
目と鼻の先で、まっすぐに見詰められて、息が止まった。
｢……私も、シャークんに1番優しくしてあげたい｣
びしょびしょに濡れた俺の左肩を、彼女のハンカチが優しくなぞる。
その、雨音に掻き消されそうな小さな小さな声も、1本の傘の中じゃ良く聞こえる。
彼女のその言葉ひとつで、単純で馬鹿な俺は、男子中学生みたいな下心を抑えるのに、笑えるくらい必死になって。
やっぱり俺は、この子がすきなんだと、認めざるを得なかった。
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あいりす(プロフ) - 無理してほしくはないので！ (2023年1月28日 14時) (
レス) id: 255513ac99 (このIDを非表示/違反報告)
あいりす(プロフ) - あ、無視してもらっても良いですよww (2023年1月28日 14時) (レス) id: 255513ac99 (このIDを非表示/違反報告)
あいりす(プロフ) - リクです！Smさんに！「ご飯にする?お風呂にする?それとも私?」をお願いします！シチュエーションは何でも良いです！ (2023年1月28日 14時) (レス) id: 255513ac99 (このIDを非表示/違反報告)
半熟卵(プロフ) - すいみん。さん» 嬉しいコメントありがとうございます！少しでもすいみん。様に楽しんで頂けたのならば幸いです☺︎ (2021年9月28日 19時) (レス) id: f0de40f6dd (このIDを非表示/違反報告)
すいみん。(プロフ) - すごい、すごすぎます。””本物””の小説を見ているようです。視点主の気持ちをうまく文に乗せていて、感情が読み手側に考えさせられる？というか、なんとういか…。＝素敵です。次の更新も待ってます、無理せず頑張ってください！ (2021年9月27日 21時) (レス) id: 89ac922806 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：半熟卵 | 作成日時：2021年2月4日 21時
