62度目の人生 ページ20
『(というか、幼少期の伊黒さん可愛くない?女の子にしか見えないんだけど…)』
ちらっと後ろを見れば口元は布が巻いてあった。
『(あぁ、私が見つけられなかったから…私がもっと早く見つけられていたら伊黒さんの綺麗な顔は傷つかずに済んだのに…)』
伊「さっきから何故俺をジロジロと見ている?食われないための案でも思いついたのか?」
ひっ…この頃からネチネチ攻撃してんの!?と驚いたが、彼が私と普通に目を合わせながら話すのを見れば少しは警戒を解いてくれたのが分かる。
『(そう言えば伊黒さん簪持ってるんだっけ?)』
私は伊黒さんに何か持ってない?と伝えようと一生懸命ジェスチャーするも、イマイチぴんと来ないようで、首を傾げている。
そこで私は格子に向かって体当たりをしたり、格子の間から手を出して向こう側に行こうとしたりする。
伊「外に出たいのか…?それで何か持っていないか、と変な動きをしていたのだな…」
と少し呆れ気味な反応を見せる伊黒さん。
『(え、なんで呆れてるの?)』
伊黒さんの表情に?を浮かべていたら、伊黒さんが私に簪を差し出す。
伊「今はこれしか持っていない…これでそこの格子を1年ほど削り続けてきた。もう後はここから逃げるだけだ。」
そういった伊黒さんの目の奥には迷いが見えた。
あぁ、きっと彼は優しいから自分がここを逃げることで殺されてしまう親戚たちのことを気にかけているのだろう。
それが分かった私は簪を指さしそして、次に自分に指を指す。
伊「これが欲しいのか…?」
『(欲しいわけじゃないけど…貸してほしいだけで…まぁいいっか…)』
頷くと伊黒さんはそれを私にくれる。
伊「俺にはもうそれは必要ない、お前が何に使うか知らないが…俺は今からここを出る。お前も目を覚ましたしな…」
真剣な目でそう言われ、私はそれに頷く。
そして私は伊黒さんの袖を軽く引っ張る。
『″わたしになにがあっても″』
初めは?を浮かべたが、ジェスチャーと共に口の動きで何を言っているか察してくれる。
伊「わたし…に…何が…あ…て?も?」
『″かまわず″』
伊「あ…か?……ま…わ…ず……」
『″まえだけむいて″』
伊「まえ、むいて…?」
『″にげろ″』
伊「にげろ……?」
時間はかかったものの私の伝えたいことが伝わる。
伊「何を言って…?一緒に逃げるぞ。」
伊黒さんは真剣な表情をして私の手を握ってくれた。
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鮭大根(プロフ) - ウェーイ( ・∇・)面白いです!!これからも頑張って下さい!!応援してます!!続き楽しみ〜(´-ω-`)ムフフ (2020年8月23日 2時) (レス) id: ef1af2de4e (このIDを非表示/違反報告)
匿名希望 - や、やばい!続きのお恵みをっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! (2020年8月23日 0時) (レス) id: 11a9c593be (このIDを非表示/違反報告)
麗夜(プロフ) - 絢さん» ありがとうございます!頑張って続き書いていきますね! (2020年7月5日 23時) (レス) id: da3d507f78 (このIDを非表示/違反報告)
絢 - この話すっごく好きです!続きも楽しみにしてます! (2020年7月1日 17時) (レス) id: 456d2e2709 (このIDを非表示/違反報告)
麗夜(プロフ) - つむ狐さん» ありがとうございます!更新停止してしまっていましたが、これからまた更新を頑張っていくのでお願いします! (2020年6月23日 5時) (レス) id: da3d507f78 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:麗夜 | 作成日時:2020年5月13日 20時