鬼殺隊の史上最年少の天才剣士は、トリップ少女

9度目の人生 ページ12

血の匂い。


赤、赤、赤、赤



力尽きた父だったものと母だったもの。




その傍らに佇む息を呑むほど美しい鬼の始祖。



この人が、鬼舞辻無惨。



こいつが両親を殺 した。



不思議と憎いという感情はない。
悲しみもない。怒りもない。




なら何故、今私は刀を振りかざしているのだろうか。




『夜の呼吸 壱ノ型 夜桜ノ舞』



ぶわぁっと桜の花びらが刀を纏い、鬼舞辻の首を狙う。



『死 ね。』




鬼｢そのようなぬるい動きでは私には届かない。そもそも、私にその小さな体で挑んでくること自体が間違いなのだ。｣



私の刀は届かず、無惨に投げ捨てられる。



『鬼舞辻……無惨！！』



無惨は私の首を掴み、こいつらの娘か…如何ものか…と呟く。


鬼｢いっそ鬼にしてしまおうか。なぁ？｣


『鬼、には…ならない……わ、たしは、お前の…首を、かな、らずお、とす………』



鬼｢お前がか？その小さき手で？笑わせる。なら、とってみろ。私の首を！｣



ぎゅっと手に力がこもったかと思えば無惨は私を投げ捨て、見下した。


鬼｢今は見逃してやる。次にあった時は鬼にするか殺すかのどちらかと思え｣



そう言い残し私と赤に染って動かない父と母をおいて無惨は琵琶の音と共に消えた。



嗚呼、かあさま、とうさまにごめんなさいって言えなかったな。

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