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扉を開けて外に出れば、青白い蒼空が広がっていた。
本日は晴天。
なんて気持ちのいい日なのだろうか。
…なんて思っていたが、今はなんて最悪な日なのだろうと、起きたことを後悔している。
太宰、中原、僕という順番で歩いている。
太宰と中原は五米ほど離れ、不機嫌な雰囲気を漂わせ、言葉も交わさずに路地を歩いている。
僕はその二人の後ろを1米程の位置でその成り行きを観察している。
溜息を吐きそうになったとき、すぐ前にいる中原が口を開く。
中「……おい」
小さな声だが、これは多分先頭を歩いている太宰への声掛けだろう。
中「……なァ、おい」
中原が再び声をかける。
中「どこ行くかくらい教えやがれ。」
『そんなこと…?それなら場所は…太「いやあいい天気だなあ。」
太宰が僕の声に被せるように話す。
太「いい天気すぎて妖精さんの声が聞こえるなあ。ねえ、A?」
そう言った太宰に僕は溜息を吐き、肯定も否定もせずに呆れの視線を送る。
中「巫山戯んな。俺の声だ。」
中原は堪らずそう言い返す。
太宰はその声に振り返り、ああ、君、いたの。と。
太「悪いけど話しかけないでくれる?ちょっと今呼吸で忙しいから。」
『はぁ…中原君。場所は…太「あーーーA見てみてー蝶々だ。」
行先を言おうとすれば太宰が声をかぶせる。
正直いってムカつく。
中「首引っこ抜くぞ包帯野郎。どこに向かってるか答えろ、つってんだよ。答えなくてもそいつの云う言葉を邪魔すんじゃねえよ。」
『あぁ、中原くんの言う通り。僕はそろそろ腸が煮えたぎりそうだよ。』
僕は額に青筋が浮かぶんじゃないかってくらい、腹が立っている。
何故こうも遮られなければならない。
僕が何をしたっていうんだ。
太「判った、答える。答えるから、近くに寄らないでくれる?連れだって歩いてると思われたくない。
Aは隣に来なよ。なんでそんな所歩いてるのさ。チビが移るよ。ってあ、元々チビだったね。ごめん、ごめん。」
プチッと頭の中で何かが切れる音がする。
チビが移るってなんだよ?
身長なんか気にしてないけど流石にそんな風にあからさまな喧嘩を売られるのは腹が立つ。
『は?…治、お前何。僕に喧嘩売ってる?買うよ?』
中「心配すんな。俺も思われたくねえから。つか、チビは移らねえだろ!!!!」
そんな言葉が青白い空に響いて消えた。
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かないろろ(プロフ) - 高評価押しました!味の保証はしません()明日香ちゃん推しになりそう… (5月2日 0時) (レス) @page11 id: 838d77be55 (このIDを非表示/違反報告)
麗夜(プロフ) - AKuRuSuさん» 高評価ありがとうございます(笑)この高評価、ばかうまいです! (2021年6月12日 20時) (レス) id: da3d507f78 (このIDを非表示/違反報告)
AKuRuSu(プロフ) - 高評価です!美味しくいただいてくださいね。 (2021年6月11日 21時) (レス) id: ce85f22cc6 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃちゃねこ(プロフ) - よかったです! (2021年4月4日 0時) (レス) id: 7a16543b0a (このIDを非表示/違反報告)
麗夜(プロフ) - ちゃちゃねこさん» ありがとうございます!めちゃくちゃ美味いです。 (2021年4月3日 21時) (レス) id: da3d507f78 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:麗夜 | 作成日時:2021年2月6日 23時