鬼舞辻無惨のそっくりさん (ページ15)

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壱拾弐話ページ15

あれ？

そういえば鬼舞辻無惨って呼ばれた？

名前違くね？

質問していい状況なの？

すると、“刀持った少年事件”で皆ご存じであろう、あの少年が問いかけてきた。

「…………鬼を、人間に戻す方法は？」

鬼？

最近鬼っていう単語をよく聞く気がする…

『そんなもの、知らん。』

アッ、少年がショックを受けている…！

大丈夫かな……

いや、いきなり連れてこられた私に罪はない。

「貴方の配下の居場所は？」

蝶の髪飾りの人が聞いてくる。

私はそれに対しても、鼻を鳴らして馬鹿にしたように答える。

『私が答えると思うか？』

いやだってそうでしょ？

皆敵対会社に部下の居場所を聞かれたら、答えないよね？

「お前は、今までのことを悪いと思っている
　のか!?」

今度は、目の焦点あってない人だ。

つーか、何に対して？

『何に対してだ？』

「人を鬼に変え、人々の幸せを奪ったことだ…」

と、羽織が特徴的な人。

『何のことだ。』

「……まだ、しらをきるつもりなの？」

……え？

待って待ってヤバい。

このお嬢さん、む、胸が出ている…！！

隠して！

『何のことだか。』

また鼻を鳴らす。

よし！

私が商談のとき等に使う煽りスキル発動！！

これは大体、金を出すことを渋ってくるケチな会社に、「え～？こんなこともできないんですかぁ～？？」ってやって金を出させるときに使う。

って、こんなこともしている場合じゃない。

私は早く仕事をしなければ…！！！

『質問は終わりか？

　私は忙しい。

　こんなくだらないことをしている場合では無
　い。』

「……そうか。」

今までに聞いたことがないような、低い声が聞こえる。

え？

誰だ？

今の言葉を発したのは。

急いで振り返ると、少年がいる。

───────ヤバい

本能が警鐘を鳴らす。

少年が、ゆっくりと刀を抜く。

──────────────死。

私の脳裏をよぎったのは、そんな無慈悲な言葉。

それでも私は、迫り来る死という絶対的なものに対して、何をすることも出来なかった。

刀が首に向かって振り下ろされる。

せめてもの抵抗として、私は人を小馬鹿にしたような笑みを作る。

諦めて、目を瞑った。

これから来る死に、向き合いたくないから。

しかし、いつまでたっても死は私を襲ってこなかった。

(誤字を修正いたしました)