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語られる過去 ページ11

わしは必死に月宮さんの一家を探しました。

血の跡を追い、どんどん奥へ奥へと入って行ったんです。

そして、みつけたのです。

血に濡れた、あの部屋を。

あの部屋、炭治郎さんたちがいらっしゃった部屋の奥、さらに奥の部屋のことにございます。

そこで、一家は見つかりました。

ああ、それはそれは恐ろしい光景でございました。

部屋は一面血の海、装飾の施された襖や天井の模様が見えなくなるほど、真っ赤に染まっておりました。

旦那様は扉の前で、奥様をかばうようにこと切れておりました。

若様、巫女様の弟様も、首から血を流した状態で、すでに......。

生き残っていたのは、巫女様ただ一人でした。

わしは、巫女様に近寄ったのです。そして、その時に気付いたのです。

巫女様のお姿が、変わっていることに。

髪は白く染まり、爪は鋭く、お顔には赤いくまどり、そして目は、黄金に煌々と輝いておりました。

巫女様は、鬼になっておられました。けれど、けれども巫女様は誰も食べてはおりませんでした。

血の匂いで溢れたその部屋にいながら、家族を食べまいと、必死にこらえていたのです。

巫女様は、冷たくなった若様の体を抱きしめておりました。ずっと、ずっと。





それから、わしは彼らを埋葬し、巫女様の世話をし始めたのです。

巫女様はあの日から寝込むようになりました。特に昼間はずっと、お部屋でお休みになる日が続きました。

無理もありません。

もともと鬼が多いこの村ですが、この村は、鬼が出るたびに月宮のお家様が守ってくださっていたのです。

しかし、そんな月宮さんの家がやられたという噂はたちどころに村中に広がり、人々は眠れぬ夜を過ごしました。

村から多くの人々が出て行きました。多くの人々が亡くなりました。

そして、そんな日々が三月ほど続いたある日、巫女様が突然、お部屋から出られたのです。

その時の巫女様のご様子は、鬼になる前と変わらず、人のお姿であられました。

そして巫女様は刀を持ち、鬼に一人で立ち向かったのです。








「その日から、この村は巫女様によって守られてきたのです。」

「そ、んな.....。」

思わず言葉につまる炭治郎を前に、出雲さんは言葉を続けた。

「鬼になられたあのお方が、どうして人を食べずに今日までこられたか、貴方にはお分かりですかな。」

「え?」

出雲さんは、暗い表情で言った。

「それはひとえに、あのお方が狂ってしまわれたからです。」

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フジッピー(プロフ) - かなとさん» すみません。言われるまで気が付きませんでした。ありがとうございます。 (2019年9月19日 0時) (レス) id: 7e2904e8b4 (このIDを非表示/違反報告)
かなと - オリジナルフラグをお外し下さい。違反だという意識はないんですか? (2019年9月18日 12時) (レス) id: bb9d67c977 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:フジッピー | 作成日時:2019年9月18日 12時

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