人のような何か ページ10
ずるずるとそばをすする音だけが部屋に響く。
美味しそうにそばを頬張る姿を、炭治郎はただただ見ていた。
「......食べないの?」
一旦箸を止め、月宮は炭治郎にそう聞いた。
「え、あ、いただきます!!」
そういって、炭治郎は慌ててそばを食べた。
鶏肉の入ったそばはダシがきいていて、ホッとする味だった。
「お、美味しいです!」
「ふぉっふぉっふぉ、それはそれは、作った甲斐がありますな。」
そういって老人は笑った。
「さて、挨拶が遅れましたの。わしは
「竃門炭治郎です。こっちは妹の禰豆子です。」
「炭治郎さんに禰豆子さんですな。改めまして、ようこそ、夜長村へ。」
そう言って頭を下げた出雲さんの横で、月宮さんも同じように頭を下げた。
それから、食事を続けながら月宮さんは出雲さんと言葉を交わした。
今日の仕事の内容だとか、今年の畑の様子だとか、村の様子といった内容だった。
そばを食べ、出雲さんに普通に話しかける月宮さんの姿は、人そのものだった。
(だけど.....。)
脳裏に浮かぶのは先ほどの情景。あの力、素早さは鬼のものだった。しかも彼女は血鬼術を使っていた。
(それなのにどうして、こんなにも人らしいんだろう。珠世さんのように体をいじっているんだろうか。)
そんな疑問を持ちながら、炭時郎も箸を進めた。
「ごちそうさま。」
そういって、月宮さんは席を立った。
「袋は、3つでいいのね。」
「はい。」
それだけ出雲さんに聞くと、月宮さんはそれでは、といって部屋から出て行ってしまった。
「......出雲さん、すこしお話よろしいですか。」
「ええ。わかっておりますよ。」
そう言うと、出雲さんはよっこいしょ、といって座り直した。
「さて、ではまずあの日のことからお話しましょうか。」
あれは、3年ほど前のことでした。
あの日、わしはいつものようにこの社に訪れたのです。
しかし、社に来てみるとそこには誰もおらず、代わりに参道には血の跡だけが残っていたのです。
わしは慌ててその血の足跡を追い、社の中へと入ったです。
そこらじゅうに血が飛び散っており、柱や壁には大きな獣が引っかいたような傷がいくつもありました。
わしはその時気づいたんです。鬼が来たんじゃ、と。
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フジッピー(プロフ) - かなとさん» すみません。言われるまで気が付きませんでした。ありがとうございます。 (2019年9月19日 0時) (レス) id: 7e2904e8b4 (このIDを非表示/違反報告)
かなと - オリジナルフラグをお外し下さい。違反だという意識はないんですか? (2019年9月18日 12時) (レス) id: bb9d67c977 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:フジッピー | 作成日時:2019年9月18日 12時